研究課題/領域番号 |
16K04631
|
研究機関 | 東洋英和女学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 智美 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (80240076)
|
研究分担者 |
山村 滋 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (30212294)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | カナダ / パスウェイズ・トゥ・エデュケーション / 子どもの貧困 / 貧困削減対策 / ハリファックス / ノバスコシア州 |
研究実績の概要 |
2018年度は、カナダ、ノバスコシア州での調査結果をまとめた。同州での調査により、カナダの中でもノバスコシア州における子どもの貧困問題は依然として深刻であり、国からの給付の増額に対して他州の子どもの貧困率が反応して低下したのに対して、ノバスコシア州のそれには効果が確認できなかったことを明らかにした。また、2010年に州都のハリファックスに設立されたパスウェイズ・トゥ・エデュケーションで実施されている低所得コミュニティの子どもに対する支援状況について報告した。 さらには、これまでの同州の教育成果の現実として、カナダ全体の平均をみても、他州との比較でみても、国際比較においても、子どもの発達や種々のテストの結果が劣っていることを認めざるを得ない状況がある。このような現状に鑑み、同州では「移行タスクフォース」が結成された。このタスクフォースには、同州の教育について、将来的には特に中等後教育への移行とキャリア選択についての助言をするように期待がかかっている。 また、省庁を横断した貧困と闘うためのブループリントを作成するうえで、州内のコミュニティに対して貧困削減のための参加の機会を提供している。つまり、コミュニティが実践的なプログラムや取組みを提案し助成金を申請することができる。このような実践は2021年以降の貧困削減のブループリント中に対策の1つとして反映される。 カナダの下院が全会一致で貧困削減を提案して以来30年が経過したものの、ノバスコシア州は子どもの貧困率を見る限り、他州に遅れをとっている。子どもの学習機会や進学機会を十分に保障するような人生早期に配慮したプロジェクトや取組みが評価され採択されることによって、同州のブループリントに重要な1つの貧困削減対策の指針として取り入れられることが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2018年度10月から、通常の授業、学務に加えて、東洋英和女学院大学に設置された研究不正問題に関する調査委員会の委員長の重責を負うこととなり、2018年度後半から2019年度はじめにかけて多忙を極めた。当初、2018年11月~2019年1月の間の適切な時期にはカナダで現地調査を行う予定をしていたものの、調査委員会での作業が佳境を迎えるにつれ、調査、研究の進行に支障をきたした。そのため、1年間の補助事業期間の延長を申請することとし、それが認められた。したがって、本研究課題の進捗状況は遅れていると言わざるを得ない。
|
今後の研究の推進方策 |
1年間の補助事業期間の延長が認められたため、2019年度には調査、研究計画を見直し、遅れているカナダでの現地調査を実施する。具体的には、ケベック州での貧困削減対策と子どもの学習機会、進学機会の保障を支援するパスウェイズ・トゥ・エデュケーションの現地調査を行う。 ケベック州はカナダの中でも、子どもの貧困問題に対する取組みが相対的に進んでいる。この実態を考察し、その改善の要因について分析する。また、ケベック州では大学進学を実現するためには、子どもたちはまずはセジェップという2年間のいわゆる予備課程に進まなければならない。このような予備課程を経ての大学進学は、カナダの他州の実情とは異なっている。したがって、中等後教育への進学はこのハードルをまずは越えなければならない。このための支援についてパスウェイズ・トゥ・エデュケーションの取組みを考察し、ケベック州の教育制度に基づく学習支援について明らかにする。
、
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度10月から、通常の授業、学務に加えて、東洋英和女学院大学に設置された研究不正問題に関する調査委員会の委員長の重責を負うこととなり、2018年度後半から2019年度はじめにかけて多忙を極めた。当初、2018年11月~2019年1月の間の適切な時期にはカナダで現地調査を行う予定をしていたものの、調査委員会での作業が佳境を迎えるにつれ、調査、研究の進行に支障をきたした。そのため、1年間の補助事業期間の延長を申請し認められた。したがって、本研究課題の進捗状況は遅れていると言わざるを得ない。 上記のような事情のため、2018年度中には使用できなかった助成金が生じ、2019年度の研究計画において使用する。
|