本研究は比較教育学的研究である。オランダの事例を質的に検討することにより、公教育制度において円滑な接続を実現するための制度的工夫の力点を明らかにすることを目的とした。本研究により、接続課題に関する検討枠組が導き出された。またオランダの「重み付け対応」政策は、接続に関する新たな制度的工夫としても位置づけられる可能性が示された。「交付基準に該当する子どもが在籍している学校に対し、政府が追加補助金を支給することにより、当該学校の学習環境整備を促進する」ことを骨子とする同政策は、マイノリティ児童生徒の不利益解消だけでなく、学校種間の円滑な接続を補強する新たな制度的工夫としても注目に値する。
|