本研究は、在学時からの追跡調査の結果をもとに、総合学科の科目選択やキャリア教育が生徒の卒業後の生活や人生にどのような影響を与えているのかを明らかにすることによって、総合学科教育の検証を行うことを目的としている。そのために、総合学科高校における進路選択の過程を検証するとともに、総合学科の教育内容が高校卒業後の職業人生にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目指している。具体的には、調査対象の総合学科高校における3年間の在学中のパネル調査に加え、卒業後もアンケートとインタビューによる追跡調査を実施した。さらに、開設から四半世紀が経過した総合学科高校の成果を検証するために、全国の総合学科高校に対するアンケート調査を行った。 研究1年目(平成28年度)は、卒業生に対してすでに実施済みのインタビュー・データの再分析を行い、そのためにテキストマイニングなどの質的データ分析に関する方法論の検討を行った。研究2年目(平成29年度)は調査対象校の卒業生に対する追跡調査の準備作業として、学校側と調査項目の検討や調査方法の確認などを行い、研究3年目(平成30年度)に調査対象校の卒業生に対する追跡アンケート調査を実施した。そして最終年度である今年度(令和元年度)は、総合学科全国調査と卒業生に対するインタビュー調査を実施した。全国調査は全国総合学科高等学校長協会の全面的な協力が得られたこともあり、回収率が高く密度の高いデータを得ることができた。卒業生に対するインタビュー調査では、アンケートで協力の意思を伝えてくれたほとんどの対象者に会うことができ、職業生活や人生について貴重な経験を聞くことができた。
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