研究課題/領域番号 |
16K04639
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研究機関 | 大阪成蹊大学 |
研究代表者 |
鍛治 致 大阪成蹊大学, マネジメント学部, 准教授 (50465655)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 国勢調査 / 調査票情報 / 進学率 / エスニシティ / 教育 / ブラジル / フィールドワーク / 移民 |
研究実績の概要 |
データの分析:2010年国勢調査の調査票情報(追加情報を含む)を得るために2017年4月に改めて申請したところ、6月にデータを受け取ることができた。夏休み中はデータの加工と分析に没頭し、その成果は10月の日本教育社会学会大会で発表することができた他、その一部を慶應義塾大学出版会『教育と医学』(No.775)に投稿することができた。 フィールドワーク(1):2017年8月と9月に外国人が集住する繁華街(大阪府)にある「日本語教室」に毎週通った。これまであまり縁がなかったフィリピンルーツの児童と関われたことは意義が大きかった。 フィールドワーク(2):2017年9月に千葉県にある(日本屈指の)中国人集住地区を訪れ、街を散策した。大阪府とは比較にならないほど巨大な公営住宅群に圧倒された。また、その翌月に地域の「日本語教室」も見学させてもらい、ボランティアから話を聞くことができた。 フィールドワーク(3):ブラジルを訪れた。今回の調査旅行では:①サンパウロ市(人口1200万人のメガシティ)、ベレン市(人口143万人の地方都市)、トメアス市トメアス郡(人口5万人。アマゾンの開拓地)を訪れるだけでなく、農場主・小売店主・食堂経営者・修理工・運搬夫・司書・教師・エンジニア・研究者・行政官など、幅広い階層の人々と交流し、現在のブラジル社会を可能な限り多角的に把握するよう努めた。②各地で公立・私立の学校(幼稚園から大学まで)を見学するのみならず、いくつかの小中学校では授業参観も行い、ブラジルの教育事情を幅広く理解するよう努めた。③トメアスではカラオケ合宿に参加したり、農場でホームステイする等して数多くの日本人・日系人から話を聞き、日系移民の歴史や現在のデカセギ事情について正確に理解するよう努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まだ一度も足を踏み入れたことがなかったブラジルを訪れ、現地社会での生活を体験することを通じ、日本で生活している日系ブラジル人児童の社会的・民族的・歴史的な背景について理解を深めることができたため。 国勢調査の調査票情報について基本的な分析が完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
データの分析:国勢調査の調査票情報について基本的な分析が完了したことを受け、最終年度はこれを論考へとまとめていく。このとき、留意すべきは以下の3点。(1)様々な変数を投入しても、国籍間の格差はあまり縮まらなかったのだが、特にブラジル籍とフィリピン籍の高校在学率が中国籍に比べて非常に低いことを一体どう説明すべきか。(2)都道府県間の格差は未成年に占める生活保護受給率を投入すると消失することが分かったが、もとよりこれは日本国籍を有する者(その多くは日本人と外国人の間に生まれた者)についてのみ顕著にみられる現象なので、この知見をどう扱い、また、どう説明すべきか。(3)マルチレベル分析(国籍というレベルと居住地というレベルを想定し、それぞれのレベルにおいて各係数や切片が変動する)を取り入れるべきか。 フィールドワーク(1):9月に千葉県の中国人集住地域を再度訪問し、公立小学校の日本語教室を見学させてもらう。 フィールドワーク(2):9月にブラジル人集住地域を訪問し、公立小学校の日本語教室を見学させてもらう。 フィールドワーク(3):夏休みと春休みには外国人が集住する繁華街(大阪府)にある「日本語教室」に毎週通い、ボランティアとして子どもたちと関わる。特にこれまであまり縁がなかったフィリピンルーツの児童と多く関われるよう心がける。 フィールドワーク(4):近い将来フィリピンでフィールドワークが実施できるようタガログ語の学習を始める。
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