研究課題/領域番号 |
16K04653
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
小畑 千尋 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20364698)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 音痴克服 / 中学生 / 自己肯定感 / 歌唱指導 / 内的フィードバック |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、歌唱における生徒自身の内的フィードバック能力向上と生徒の心理面に着目して、中学生の自己肯定感向上に繋がる音痴克服のための歌唱指導法に関する実証的研究を行うことである。 研究2年目である平成29年度はまず、昨年度A中学校で実施した「音痴」意識を中心とした質問紙調査の結果について、国内学会、国際シンポジウムで研究発表を行った(小畑 2017b, Obata 2017c)。ここでの国内外の研究者との意見交換を基に、A中学校での結果が、A中学校特有の結果であるのか、他の中学校でもみられる傾向なのかを明らかにするため、宮城県と千葉県の研究協力校において同質問紙調査を行った。調査は、7校の中学校において各学年1クラス、合計679名(1学年229名 2学年218名 3学年232名)を対象に、また発達的特徴を明らかにするため、小学校2校においても高学年418名(5学年219名、6学年199名)を対象に同調査を実施した。同時に、生徒の内的フィードバック能力を含む歌唱技能に関する個別調査についても、中学校2校において合計191名(1学年64名、2学年64名、3学年63名)、小学校1校において65名(5学年36名、6学年29名)を対象に実施した。現在これらの結果について、詳細な分析を行っている。 また、宮城県の研究協力校(B中学校)の2年生74名を対象に、小畑(2017a)を基にした約1時間の「音痴」克服をテーマとしたワークショップを実施した。ワークショップの前後に行った質問紙調査からは、ワークショップに参加したことにより、自分自身を「音痴」だと思う生徒の割合が減少したことが明らかであり、具体的にどのような意識の変化がおきたのか、自由記述についての質的な分析を現在行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初は、中学校・小学校それぞれ1校において、歌唱技能に関する個別調査及び音痴意識に関する質問紙調査を実施する予定であったが、研究協力校が増え、質問紙調査については、国公立中学校7校、国公立小学校2校、個別の歌唱調査に関しては、国公立中学校2校、公立小学校1校で実施することができた。また、研究協力校であるB中学校において、「音痴」克服をテーマとしたワークショップの実施と参加者の意識について調査することができた。さらに、2016年にA中学校の全校生徒を対象に実施した音痴意識に関する質問紙調査の結果について、国内外の学会で発表した。 以上の理由から、本研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度A中学校で実施した質問紙調査結果の分析から、性別による違いがみられた。これは、大学生を対象とした調査(小畑 2018)ではみられなかった傾向であり、今年度新たに中学校7校、小学校2校で実施した調査についても、性別の違いを含めた分析を進める。 同時に、研究協力校であるB中学校において、音痴意識を持ち、且つ音高・音程を正しく歌うことのできない生徒に対する歌唱の個別指導、並びにグループ指導を実施し、生徒の心理面と歌唱技能の変化について分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会参加のための海外渡航費(航空券)が、概算よりも安価であったため、次年度使用額が生じた。 今年度、当初の計画より多くの研究協力校に協力を得て、小・中学校で質問紙調査、及び歌唱の個別調査を実施することができたため、扱うデータ量が予定よりも大幅に増えた。そのため、引き続き次年度において行う分析の費用に充当する。
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