本研究の目的は大きく2つある。1つは小学生の国語誤用を収集し、学年ごと・出現した言語単位ごと・推測する誤りの原因ごと・想定する予防や改善策ごと等に整理することである。これについては平成28年度に国語誤用のリストデータを作成している。この成果は、平成29年3月刊行の秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センターの紀要(第39号)の論文としてまとめた。 もう1つの目的である、国語誤用の予防や改善のための指導法の開発については、平成29年度、30年度に行った授業分析によって明らかにし、秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター紀要(第40号、41号)の論文にまとめている。 平成29年度には、小学校下学年(1~3年生)を対象とした指導法の開発のために、秋田県内の小学校3年生の授業を分析し、予防指導として、取り立て型の指導(国語誤用を提示して注意喚起する指導)をした上で作文指導を行うと、推敲指導(作文指導の途中の指導)が効果的に行えることが明らかになった。また、各自一人で国語誤用を直す活動をした場合と、ペアで直す活動をした場合と、3人以上のグループで活動した場合を比べた結果、各自の活動には限界があることと、ペアやグループで見る目を増やすことが効果的であることが明らかになった。 平成30年度には、上学年(4~6年生)を対象とした指導法の開発のために、東京都の指導教諭が行った小学校6年生の授業を分析した。その結果、数ヶ月前に出現していた国語誤用が継続して現れる児童がおり、特定の児童にこの傾向があること、国語誤用を教材としてみんなで直してみる活動をした際に発見・修正できた国語誤用も、その後の作文に出現している児童がおり、特定の児童にその傾向があることなどが明らかになった。国語誤用の教材化とその評価の活動は有効であるが、教師の個別の見取りと指導が不可欠であることが分かった。
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