研究課題/領域番号 |
16K04657
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
野村 幸代 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (90635195)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | Reciprocal Teaching / アクティブ・ラーニング / 協同学習 / 大学教養英語 / 語彙力 |
研究実績の概要 |
日本の大学教養英語においてはReciprocal Teachingの4つのストラテジー(「質問」、「明確化」、「予測」、「要約」)すべてを授業に組み込むことは困難であることが明らかになったため、「質問」に焦点を当ててデータ収集を行い分析した。その結果をThe 16th ASIA TEFL International Conference 2018(2018年6月27日~2018年6月29日、マカオ大学)にて発表した。題目は"Effects of Reciprocal Teaching "Forming Questions" on Japanese English Learners' Text Comprehension"である。質問紙調査からは、RTの「質問」というストラテジーを用いることにより、1)学習者がテキストを読む際に「全体ストラテジー」を働かせること、2)学習者に認知的負荷をかけるため、学習者は「自己効力感」を持つこと、3)学習者はグループ内で活発に質問し、自分の理解をモニターすること、4)学習者は責任感を持つことができ、学習不安を緩和させることが示された。また、語彙の理解度テストは、Reciprocal Teachingの「質問」を行ったグループと、個人で読解を行ったグループでは、Reciprocal Teachingの「質問」を行ったグループの方が得点が高かった。以上から、Reciprocal Teachingは「質問」というストラテジーに特化しても、大学教養英語を学ぶ学習者にとって効果的な方法であることが示された。 四国英語教育学会(2018年6月22日 香川大学)にて「互恵的教授によるテキスト内容理解の効果―アクティブラーニングの視点から―」という題目で、アクティブラーニングの視点からReciprocal Teachingを整理し、その有効性を発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Reciprocal Teachingの4つのストラテジーを、大学教養英語の授業にすべて導入することは困難であること、「質問」だけを導入しても効果的であることが明らかになった。この研究結果の信頼性を高めるために、検証を重ねる必要がある。この「検証」の部分が未実施であり、実施予定である。 現在、Reciprocal Teachingの「質問」を行っている学習者の発話プロセスと語彙テストの詳細な分析を論文化し、「英語教育における協同学習の効果―付随的語彙学習に着目して―」という題目で日本教授学習心理学会に投稿中である。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果の信頼性を高めるために、検証を行う。研究代表者は所属機関を異動しているため、これまでの調査対象である茨城大学ではデータを収集できない。そのため、茨城大学の上田敦子准教授に研究分担者としてデータ収集の協力依頼を行い、実施している。この結果を含めて、これまでの成果をまとめて学会発表を行う。The 17th ASIA TEFL International Conference 2019 (2019年6月26日~28日 バンコク)で"Effects of Collaborative Learning on English Education: Focusing on Incidental Vocabulary Learning"というタイトルで、発表要旨の審査を通過している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
これまでの研究結果の信頼性を高めるための追跡調査を行う研究分担者を依頼した。追跡調査を含めた研究結果をThe 17th ASIA TEFL INTERNATIONAL CONFERENCEで発表するための旅費として計上した。また、プリンターが劣化したため、購入を予定している。
|