研究課題/領域番号 |
16K04658
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
石島 恵美子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (10736325)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会参画 / 高校 / 家庭科 / 消費者市民 / 調理実習 / 郷土料理 / 小学校 / マーケティング |
研究実績の概要 |
平成28年度は、社会参画の理論を家庭科の授業に援用するにあたり、高校家庭科の2つの単元についてカリキュラム研究を行った。 1つ目は、消費生活と食生活の縦断的単元のカリキュラムである。2012年に消費者教育推進法が施行され、これまでの消費者教育から一歩進んで、市民が消費社会に参画し、消費者市民社会を形成する担い手となることが期待されている。消費者市民を育むには、できるだけ生活実践に近い場で育むことが実現性が高いと考え、「消費者市民を育む調理実習」について注目をした。調理実習は、購入、調理、試食、片付け、廃棄と一連の学習活動が、消費活動と一致する。そこで、調理実習の学習目標に消費者市民教育の視点を加えることの有用性を検討することとした。文献調査の結果、現職の教員の大半が、調理・食品の知識や技術の習得以外の例えば環境教育や消費者教育などの目標を明確に持たずに調理実習を行っていることが明らかになった。そこで、全国の教員養成課程のある大学において、消費者市民の育成を目的にした調理実習の講座の実施状況を調査した。その結果、50講座中19.4%であった。このことから、高校生の社会参画教育を家庭科の授業で育むことに関して、家庭科教員の意識が低い要因の一端が明らかになった。分析結果を論文としてまとめ、紀要に投稿をした。 2つ目は、食生活の単元である。地域の郷土料理「つと豆腐」の復興を目指して地域の課題解決を協働ですすめるカリキュラムを考案し、小学生と高校生に実施した。その事前と事後の意識変化を調査の結果、郷土料理への興味関心が高まるだけでなく、地域への関心や共生意識、社会参画意識の高まりが明らかになった。また、その基礎資料の作成のために、地域住民へのマーケティング調査を実施し、郷土料理を地域資源として認識し、社会参画をする意識構造等を明らかにした。この分析結果を論文にまとめて、学会誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一に、小学生と高校生の授業実践の時期が遅れたためである。該当校の調理実習が、春と秋に分かれて実施されていたため、データが全て揃うのに時間がかかってしまった。 第二に、上記の遅延に伴い調査結果の整理・分析が遅れたためである。全部の調査票の回収を待ってから、整理分析を行ったため、予定より遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、前年度に行った質問紙調査の分析を進めるとともに、分析結果を論文としてまとめ学会誌に投稿する。 また、平成28年度に実施した高校生の社会参画活動をDVDにまとめ、高校生を対象とした講演会を行う予定である。その事前事後の高校生の意識変化の測定を行い、基礎資料を作成する。それをもとに教員への社会参画教育に対するインタビュー調査をし、教材の精選を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、小学校、高校の授業実践の時期が遅れたため、調査票の集計・分析が遅れた。そのため、その結果に基づいて製作を予定していたDVDの作成が滞っている。DVD作成のための編集機器やソフトウェア、人件費等が未使用となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
質問紙調査結果の整理のための人件費、論文作成のための消耗品費、英文校閲のための人件費、論文投稿料、DVD作成のためのソフトウェアの費用等に使用する予定である。
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