研究実績の概要 |
小学校英語授業における望ましい活動というのはどのような特徴をもっているかについて、SLA研究および先行研究の観点から、実際の小学校の授業(児童の高好意度授業および低好意度授業)に見られる言語活動を分析した。Ortega(2007)は望ましい言語活動は次の3つの原理に沿っていると述べている。Principle 1: Interactive である。Principle 2: Meaningful(言語形式に注意を払う;思考力を伴う)である。Principle 3: A focus on task-essential forms(その言語活動をする上で、当該の表現が必須である。Munoz(2007)によると、具体的操作期(7~11,12歳)の児童は、具体的事物を用いた活動、積み木を使う活動、身体運動を伴う活動、表現のまとまりを扱う活動、反復練習、楽しい活動を好む傾向があり、一方、形式的・抽象的操作期(11,12歳~)にある児童は論理的・抽象的思を伴う活動、様々な学習スタイルを取り込むような活動、表現の分析・類推、知的興味関心を引き起こす活動、協力し合えるようなグループ活動、自尊心が損なわれないようなグループ活動などを好む傾向がある。 上記の特徴が、児童の高好意度授業には見られ、一方低好意度授業には見られないのかを、小学校外国語授業で検証した。高好意度授業では、Alphabetソングを歌う際に、小文字b,d,fのように縦棒がある際は片腕を真っ直ぐ上げ、g, j等はしゃがむなどの身体運動を伴う活動があった。また、文字のなぞりの活動(体験的活動)などがあった。さらに、スピーチ作成後、グループ内で発表し、その後グループ外でやり取りをするなど、インタラクティブな活動があった。一方、低好意度授業の特徴として、過度な反復練習が見られた。
|