研究課題/領域番号 |
16K04665
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
本村 猛能 群馬大学, 教育学部, 教授 (70239581)
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研究分担者 |
森山 潤 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (40303482)
工藤 雄司 茨城大学, 教育学部, 教授 (70635614)
角 和博 佐賀大学, 教育学部, 教授 (80145177)
山本 利一 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80334142)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 国際比較 / 情報教育 / 知識と意識の調査 / 論理回路 |
研究実績の概要 |
本研究は,日本と類似の文化圏の韓国・中国との比較研究により『小学校から高校の一連の情報教育により児童・生徒の認知度や科学的理解が充実している』という我々の先行研究の結果を踏まえ,アジア(韓国・中国・インドネシア)及び,異なる文化圏の西洋や米国などの調査も含めて,体系的情報教育のカリキュラム開発と具体的な情報教育の在り方を提案することを目的としている。 その結果,我が国の中高生の情報教育については,社会的な変化とともに,ハードウェアおよびソフトウェアーの進化の元,情報に関する環境が大幅に変化しており,生徒・学生の持つスキルも変容している。また,生徒・学生の意識は,趣味や生活に役立てたいとする割合は,前回調査と同様に高いものであるが,これらを職業として活用するという意識は,他国と比較して低いものであった。 これらのことを受け,具体的な指導内容および指導方法を平成29年度は検討してきた。その事例として,中高生向けの論理回路を基にした,コンピュータの仕組みを学習する指導過程を検討し,授業実践でその効果を検証した。ここでは,これまでのICを組み込んだ論理回路に加え,仮想現実を表現する,マインクラフトやトライビットロジックを活用することで,より幅広い視点でコンピュータの仕組みを学習するとともに,部品数に制限のない回路を組み込むなど(加算回路,比較編演算)など組み上げるものである。 IoTの進化もきわめて速いものであり,それらに対応した指導法も検討をスタートさせた。これらの実践はH30年度に実施し,報告をしたいと考える。」
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,これまでの科研費等の継続研究により,諸外国,特にアジア圏での情報教育のカリキュラムの体系化と学習者の意識について検討し,調査を行うことを目的としてきた。 また,新学習指導要領の骨組みが示されたことを受け,調査項目を再検討および修正し,平成29年度は,本内容をインドネシアやスロベニア,ニュージーランドに広げつつ,前回までの継続研究の結果より『情報の科学的理解に対する知識が諸外国より有意に低い』という結果を受けて,比較研究を実施した。 その結果,これらの国での調査でも我が国の情報教育の意識は高いものの,情報の科学的理解についての知識は他国と比較して低いものであった。 そこで,科学的理解を深めるための教材および指導方法を検討することを本年度は実施した。特に,コンピュータの仕組みを理解するための,論理回路については,これまでの指導とは異なり,新しい教材を複数開発すると共に,それらを援用した授業実践を中学校・高等学校で実施し,その成果を確認した。 特に教材の提案は,平成29年12月のニュージーランドの国際学会の際に,教材の提案とインドネシア,スロベニアでの調査を踏まえた研究を報告し,高く評価された。これらを元に,IoTの指導法の検討もスタートさせることができたので,おおむね順調と自己評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
情報化の進展を踏まえて,これらのカリキュラム開発及び教材開発においては,系統的な指導が重要であることが,他国との比較を通して明らかになってきた。そこで,平成30年度は,小学校から高等学校までの指導過程を検討したい。特に,教育課程の改訂が示され,高等学校卒業段階の,知識・技能が我が国では示された。以下にこれらのスキルを効率的に身につけるためには,系統的な指導を検討したい。 小学校段階では,初めて導入が決定された「プログラミング」の教科での活用を検討したい。特に関連のある,算数科との連携を意識したものを作りたい。 中学校段階では,IoTを体験的に学ぶと共に,その中でプログラミングの役割を考え,社会を豊かにするシステムについてまで,着眼させたい。 高等学校では,小中段階で学習した事柄を,生活や産業と結びつけてその仕組みを考えさせたい。ここでは,認識科学と設計科学の両面から指導法を検討しいく。
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