本研究の目的は、(1)我が国の学校教育において多様に実践されている「政治教育・シティズンシップ教育」の歴史と理論と実践を調査・分析し、その複雑な教育パターンを類型化・体系化するとともに、(2)各パターンの「政治教育・シティズンシップ教育」の課題を明らかにし、「情報・政治リテラシー」を育む時事的論争的な課題を教材化し、実践する。そこから、現在求められている「公共的な事項」に主体的に参画する意識や態度を身に付けた市民を育成する「政治教育・シティズンシップ教育」の在り方と可能性を究明することである。 最終年度は、以下の二つの方向で取り組んだ。(1)ベルギー王国のブリュッセルにあるEU関連施設を訪問し、ヨーロッパ教育と政治教育の関連性を探った。(2)地球環境をはじめ環境問題を取り上げ、社会科における環境教育の意義を探った。環境教育は、「持続可能な開発」とともに、社会を新たにつくる担い手の創出を目ざす「政治教育・シティズンシップ教育」とも結び付けられるととらえた。 研究期間全体を通して、(1)現在の我が国において「政治教育」がどのような文脈で、どのように語られているのか、その言説を検討した。また、(2)リテラシー」の基礎に当たる「社会的な見方・考え方」の意味を分類・整理した。さらに、(3)社会科における「環境教育」の意義を取り上げた。そこから、「公共的な事項」に参画する市民を育成する可能性と萌芽を見出した。
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