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2017 年度 実施状況報告書

理科における社会的文脈を考慮した調整学習に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K04670
研究機関横浜国立大学

研究代表者

和田 一郎  横浜国立大学, 教育学部, 教授 (70584217)

研究分担者 渡辺 理文  北海道教育大学, 教育学部, 講師 (30758363)
森本 信也  横浜国立大学, 教育学部, 名誉教授 (90110733)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードメタ認知 / 自己調整 / 社会的相互作用 / 表象
研究実績の概要

新学習指導要領において志向される,「主体的・対話的で深い学び」を通じた資質・能力の育成のためには,子どもが属する社会的文脈を考慮しながら,自己の学習を調整する姿を見極める必要がある。本年度の研究では,昨年度,構想したHadowinらの指摘する「共調整」「社会的に共有された調整学習」の理論に基づく学習モデルを踏まえ,これに他者との相互作用過程を捉える情報処理モデル,対話過程を捉えるナラティブ論,認知やメタ認知の相互作用を捉える社会的メタ認知の概念などを加味することによって,より詳細に学習の調整過程の検討を試みた。
結果として,子どもは自己の保持する知識を検索し,それを表出させ,他者の認知結果のみならず,メタ認知プロセスと相互作用させることによって,自己の知識の再構成を繰り返していることが明らかとなった。特に,理科学習では,予想に対する根拠を明示すること,考察場面において,エビデンスを明確にしながら予想との対応付けを行うこと,その上でそれらを他者と共有し,相互作用させることによって,互いの認知の結果のみならず,メタ認知の過程までをも捉えることが可能となる。これによって,共調整や社会的に共有された調整学習は,一層促進されることが示唆された。また,ブルーナーによれば,理科学習に関わる思考には,自己の経験を軸としたナラティブモードと科学理論に基づくセオリー・モードの2種類の形式が存在することが指摘されている。学習過程において,これらの思考形式は互いに補完し合うことになるが,それは他者との対話過程において促進されることが明らかとなった。対話過程において,子ども同士が話し手や読み手として機能し合うことによって,学習の共調整は促進されることになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度,構想した社会的文脈を考慮した調整学習に関する理論モデルを基軸として,小中学校の実践による検証を施した。学習論,教授論,評価論の各要素から,総合的に理科授業デザインに関する指針を得ることができた。これは,当初の計画を上回っている。

今後の研究の推進方策

次年度は,さらに小中学校における実践を増加させ,理論モデルの検証を進める。

次年度使用額が生じた理由

論文投稿に関わる投稿料の支払いが次年度に生じる見込みであり,これに充当する予定である。

  • 研究成果

    (26件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 認知モデルを基軸とした能動的学習を促す理科授業デザインに関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      佐野菜実,和田一郎,宮村連理
    • 雑誌名

      臨床教科教育学会誌

      巻: 17 ページ: 55-62

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 高等学校化学におけるモデルの分類と科学概念構築過程との関連2017

    • 著者名/発表者名
      一ノ瀬友輝,平瀬健太郎,和田一郎
    • 雑誌名

      教育デザイン研究

      巻: 8 ページ: 131-138

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 理科学習における対話過程の分析とその意味に関する研究 ―ナラティヴ論を基軸とした一考察―2017

    • 著者名/発表者名
      大木裕未,長沼武志,和田一郎
    • 雑誌名

      日本科学教育学会研究会研究報告

      巻: 32 ページ: 175-180

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 理科授業における他者との認知の調整過程とメタ認知の機能に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      佐野菜実,宮村連理,和田一郎
    • 雑誌名

      日本科学教育学会研究会研究報告

      巻: 32 ページ: 181-184

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 理科における主体的・対話的で深い学びの実現に向けて―学習論の立場から何が提案できるか― 「メタ認知と協働学習を基軸とした提案」2017

    • 著者名/発表者名
      和田一郎
    • 学会等名
      日本理科教育学会第67回全国大会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 協働的な科学概念構築過程に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      坂井真海,平瀬健太郎,和田一郎
    • 学会等名
      横浜国立大学教育学会第5回大会
  • [学会発表] 理科における能動的な知識の関連付けの実態とそれを促す教授方略に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      佐野菜実,宮村連理,和田一郎
    • 学会等名
      横浜国立大学教育学会第5回大会
  • [学会発表] 小学校理科授業における 社会的メタ認知の促進と育成に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      猪口達也,長沼武志,和田一郎
    • 学会等名
      横浜国立大学教育学会第5回大会
  • [学会発表] ナラティヴ論に基づく理科授業における「主体的・対話的で深い学び」の意味に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      大木裕未,齊藤武,和田一郎
    • 学会等名
      横浜国立大学教育学会第5回大会
  • [学会発表] 主体的・対話的で深い学びの具現化を目指す理科授業デザイン(1) ―メタ認知機能の高度化―2017

    • 著者名/発表者名
      猪口達也,和田一郎,宮村連理
    • 学会等名
      日本理科教育学会第67回全国大会
  • [学会発表] 主体的・対話的で深い学びの具現化を目指す理科授業デザイン(2) ―認知モデルに基づく授業デザイン―2017

    • 著者名/発表者名
      佐野菜実,和田一郎,宮村連理
    • 学会等名
      日本理科教育学会第67回全国大会
  • [学会発表] 主体的・対話的で深い学びの具現化を目指す理科授業デザイン(3) ―ナラティブ論に基づく対話の変容過程の分析と学習評価―2017

    • 著者名/発表者名
      大木裕未,和田一郎,長沼武志
    • 学会等名
      日本理科教育学会第67回全国大会
  • [学会発表] 主体的・対話的で深い学びの具現化を目指す理科授業デザイン(4) ―協働学習による知識構築の促進―2017

    • 著者名/発表者名
      坂井真海,和田一郎,平瀬健太郎
    • 学会等名
      日本理科教育学会第67回全国大会
  • [学会発表] 主体的・対話的で深い学びの具現化を目指す理科授業デザイン(5) ―高等学校化学基礎におけるメタ認知機能の充実とモデリングの関連―2017

    • 著者名/発表者名
      一ノ瀬友輝,和田一郎
    • 学会等名
      日本理科教育学会第67回全国大会
  • [学会発表] 能動的学習を促すアセスメントの視点に基づく理科授業に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      佐野菜実,宮村連理,和田一郎
    • 学会等名
      日本教科教育学会第43回全国大会
  • [学会発表] 理科学習における協働学習を通じた社会的メタ認知機能の促進と育成に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      猪口達也,平野大二郎,和田一郎
    • 学会等名
      日本教科教育学会第43回全国大会
  • [学会発表] 小学校理科における「主体的・対話的で深い学び」に向けた一考察―社会的文脈を考慮した調整学習の視点から―2017

    • 著者名/発表者名
      本間崚太,長沼武志,和田一郎
    • 学会等名
      日本理科教育学会北海道支部大会
  • [学会発表] 理科授業におけるICTを活用した協働的な知識構築に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      武井文香,宮村連理,和田一郎
    • 学会等名
      日本理科教育学会第56回関東支部大会
  • [学会発表] 小学校理科における問題基盤学習PBLの実践的研究2017

    • 著者名/発表者名
      寺島真璃奈,平野大二郎,和田一郎
    • 学会等名
      日本理科教育学会第56回関東支部大会
  • [学会発表] 小学校理科における協働的な認知の調整を通じたメタ認知機能の促進に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      猪口達也,平野大二郎,和田一郎
    • 学会等名
      日本理科教育学会第56回関東支部大会
  • [学会発表] 学習・教授・評価プロセスの関連を深める理科授業デザインに関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      佐野菜実,宮村連理,和田一郎
    • 学会等名
      日本理科教育学会第56回関東支部大会
  • [学会発表] 協働学習を通じた科学概念構築を促進する教授の視点に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      坂井真海,平瀬健太郎,和田一郎
    • 学会等名
      日本理科教育学会第56回関東支部大会
  • [学会発表] 「主体的・対話的で深い学び」の実現に関する一考察―ナラティブ論に基づく協働的な対話による探究の分析-2017

    • 著者名/発表者名
      大木裕未,長沼武志,和田一郎
    • 学会等名
      日本理科教育学会第56回関東支部大会
  • [学会発表] 理科学習における対話過程の分析とその意味に関する研究 ―ナラティヴ論を基軸とした一考察―2017

    • 著者名/発表者名
      大木裕未,長沼武志,和田一郎
    • 学会等名
      日本科学教育学会第5回研究会
  • [学会発表] 理科授業における他者との認知の調整過程とメタ認知の機能に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      佐野菜実,宮村連理,和田一郎
    • 学会等名
      日本科学教育学会第5回研究会
  • [図書] アクティブに学ぶ子どもを育む理科授業2017

    • 著者名/発表者名
      森本 信也 , 黒田 篤志 , 和田 一郎 , 小野瀬 倫也 , 佐藤 寛之 , 渡辺 理文
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      学校図書

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公開日: 2018-12-17  

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