研究課題/領域番号 |
16K04671
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
三宅 晶子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (20181993)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 古典教育 / 教育デザイン / 古文 / 伝統的言語文化 / 古典芸能 / 能 / 狂言 / 漢文 |
研究実績の概要 |
1、「古典教材・国語教科書・指導書・AV資料などの収集」後援会費、他教員の協力などで、27・28年度に新しくなった小学校・中学校国語教科書・指導書の体系的収集が完成した。その他の資料収集も積極的に行った。 2、「古典力アンケートの実施と分析」 ①アンケートの方法、質問内容などを改良した ②平成28年度入学の横浜国立大学教育人間科学部学校教育課程の全学生(230名)対象のアンケートを実施した ③研究協力者の大学院生を指導し、謝金によって27年度分の特色を分析し、傾向を明らかにし、それについて考察した。 ④分析結果を研究協力者が『横浜国立大学国語教育研究』に発表した。 3「古典教育デザイン研究」(古典教育デザイン研究会の活動) 学生・卒業生・修了生たちの取り組みへの指導・助言・助力の二本立てで、4種類のテーマに関する研究を行った。 ①平成27年度改訂版小学校教科書と指導書の内容に関する調査 ②小中高一貫教育を前提として体系化する古典教育デザイン ③楽しく身につく文法教育の提案 ④古典芸能を利用した古典の授業デザイン *学生・修了生・教員・申請者による、研究成果発表を秋・春二回の古典教育デザイン研究会において行った。教育学研究科大学院生の教育インターンを利用して、二名の学生の取り組みを小学校と高校において実験授業で行い、現場の教員も交え検証した。この取り組みに関して、一つは本年度学会発表を行い、来年度論文化する。もう一つは来年度学会発表と論文化を行う予定である。その他の物は『古典教育デザイン研究』第3号にまとめる予定である。 4,「「3面マルチ画像で観る能」の撮影とテキスト作成」能2曲・狂言1曲について行った。横浜能楽堂の協力の元に、正面席2カ所と脇正面席の3方向から能を撮影し、それを同一画面に合成して詞章を付けたDVD形式のビデオを作成した。、
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示した1-4について、それぞれまとめる。 1 計画に従って、順調に収集が進んでいる。 2 実施方法は確立しているので、それに従いつつ、アンケート内容の微調整を行って、より現代に即したアンケートの実施と分析が可能となり、充実した報告も出来た。 3 学生の取り組みへの支援のみならず、修了生の発表の場として古典教育デザイン研究会が役だったことは、評価に値する。研究会での発表と質疑は盛んで充実しているが、会誌への投稿数をもっと多くしていく必要がある。また、紙媒体での作成には費用がかかりすぎるので、デジタル媒体のみの作成になったのは、少し残念なことである。 4 当初の予定では、学生を動員して正面席と脇正面席からのみの撮影の予定であったが、撮影・編集の専門家の協力を得ることが出来て、3方向からの撮影が可能となったことは、大変望ましいことであった。画面合成と字幕入力について、申請者本人か、学生で行うつもりだったが、あまりに膨大で高度な作業のため、断念、専門家に外注したので、大変良い画像データを得ることができた。これを利用して静止画像を利用した紙媒体の小冊子型のテキストを作成する予定であったが、画像合成に時間がかかり、それができなかったので、進捗状況を(2)の評価とした。
|
今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に示した1-4について、それぞれまとめる。 1 来年度は高校教科書が新しく刊行されるので、そちらの収集を行う。指導書に関しては、購入できればそれに越したことはないが、高額である・これまでのものとあまりないように変化があるとは思えない・義務教育と違って、より専門性の高い教育が行われているので、教師はあまり指導書を利用しない、という理由から、他の予算が獲得できれば、購入したい。その他の資料は、適宜,収集の心がける。 2 従来通りの方針に従って、取り組む。データ入力とデータ解析・考察をこれまで同じ学生が行ってきたが、作業が膨大で負担が大きいので、データ入力は学部生に依頼する。 3 従来通り実施していくが、来年度は特に『源氏物語』『百人一首』古典芸能に関してを重点的に取り上げていきたい。研究会での発表・出席者の増加に心がけると共に、会誌の内容を充実させたい。 4 本年度と同じ方法での撮影・編集を行うが、撮影は1回にして、これまでに蓄積したデータ処理に力を入れる予定である。要約、データ処理と合成画面の構成が確定できたので、これまでのものを修正して、同じ形のデータに揃えることが必要だと考える。これには専門家の協力が必須である。今後は、本年度に断念した冊子型の能・狂言テキスト作成に力を入れたい。またその成果を来年度8月にリスボンで開かれるEAJS(ヨーロッパ日本研究協会)において、発表するつもりである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定でいたノートパソコンは約300,000円と見込んでいたが、予算額が申請額より低かったし、200,000円弱で高性能の、希望する機種を見つけたこと。中学校国語教科書の指導書を購入予定であったが、全部そろえるには高額すぎることと、総合図書館に納入されたという情報があったので、それを利用することにして、購入をやめたこと。3面合成画面の能・狂言の、紙媒体のテキストを本年度には作成せず、来年度に見送ったこと。 以上のことなどから、予定額より低い執行となった。来年度に学会発表のための海外出張を計画したので、余剰分を次年度に回して、それに充当することにした。
|
次年度使用額の使用計画 |
8月末から9月初の一週間、リスボンにおいてEAJS(ヨーロッパ日本研究協会)の大会が開催されるので、それに参加して成果発表を行う。その経費に余剰分を充当しようと考えている。
|