研究課題/領域番号 |
16K04682
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
坂口 京子 静岡大学, 教育学部, 教授 (60440591)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 言語力 / 選択力 / 再出力 |
研究実績の概要 |
第九次学習指導要領において求められる「言語力」の体系を解明し、育成にあたっての教育実践のスタンダードを小学校、中学校段階において構築することを目的としている。中でも、思考力、知的能力、方放知との関連を図る上で重要点となる選択力、再出力の体系と系統、その行為化をどのような系統のもとにどのような学習指導を軸として具体化していくかを明らかにする。 学習指導と評価方法のスタンダードを明らかにする上では、言語力育成の基本となる視写、書き抜き、書き込み、書き替えがどの教科、領域でどのような段階を捉えて指導されているか、国内外の先進的実践および戦後新教育における教科書研究をもとに検討する。 平成28年度は、ヴァルドルフ・スクール調査(ミュンヘン、フランクフルト)と、国内の研究協力者の授業実践の取集と記録を行った。平成29年度は、国内の研究協力者の授業実践の取集と記録を継続して行った。 ここまでの実績として教師の創意による教材の選択が学習者の選択力、再出力育成の根幹にある点である。ヴァルドルフ・スクールでは第二外国語(第7学年)の授業において副読本として近年の著作「マンデラ大統領」の伝記が選択される一方、聖書の一節を絵にする等の不易の学習がいずれも教師の創意によって選択され体系と系統を構想している。一方、静岡市内中学校における指導においても、教科書に加えて、一定期間の見立てのもとに個々の生徒に適切な書籍を選ぶことによって学習や生活の安定につなげている。いずれも教師(集団)創意で教材を選択している点が共通しており、体系と系統を柔軟に変化させていくその過程に重要点があることが明らかになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、国内外の学校調査、授業実践の記録について予定通り進め、昭和20年代の教科書調査についてはやや遅れている状況であった。 成果としては、ヴァルドルフ・スクール(ミュンヘン・フランクフルト)を幼稚園から高等学校段階まで実地調査できたことがある。なお、研究代表者と研究協力者との連携連絡が良好であるため、新規ホストコンピュータの立ち上げは行わなかった。 平成29年度は、本務校の学務の負担が増大し、平成28年度の継続研究にとどまった。継続研究としては、静岡市内での協力校のみ行うことができた。中学校段階においての読書活動に関わる実践記録では、大きな成果を得ることができた。 実践研究は以上にとどまっているが、ドイツを含めた他の研究協力校との連絡調整は順調に進捗している。平成30年度以降の研究調査は可能である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、国内・国外の学校における実践調査の継続と、昭和20年代教科書調査を中心にすすめていく。なお新規ホストコンピュータの立ち上げも行う予定である。研究調査については次の諸点である。 国内外のヴァルドルフ学校調査、静岡県内を中心とした研究協力者の授業実践の分析(小・中学校における国語科を中心とした各教科における授業調査)、昭和20年代の教科書調査(国語科を中心に社会科を含む、教材と「手引き」の実際、教育課程への着眼、「言語力」の系統と体系の捉え等)。 なお、本務校での学務が平成29年度に引き続き本年度もさらに増加しているため、場合によっては平成31年度への継続も検討せざるを得ないと考えている。ただし、構想している研究については、本年度中に見通しをつけることに尽力したい。特に、遅れている昭和20年代の教科書調査については資料の収集等を確実に進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規ホストコンピュータの購入と立ち上げ、国内外の授業撮影のために入用な機器の購入が行えなかった。次年度に実施する予定である。さらに、言語力関連図書の購入、旅費等の使用も当初の予定通り行っていく。
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