研究課題/領域番号 |
16K04687
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
川内 充延 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (50737624)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 数学的概念の例 / 平方根の導入教材 / 素地指導 / 概念形成のための例 / 表記・表現 |
研究実績の概要 |
本研究は,数学学習における「学習者に数学的概念の例をつくらせる」という教授方略を構築することを目的としている。具体的には,①学習者が数学的概念の例をつくる場面に焦点を当て,実践的内容を分析すること,②学習者がつくる数学的概念の例の質に関するルーブリック(評価指標)を作成すること,③学習者がつくる数学的概念の例を活用する教材を開発することの3点が目標となる。 ①については,本研究に関連する文献に当たり実践的内容を検討した。また,大学の授業の中でも数学的概念の例をつくらせる場面を設け,院生や学部生の取り組む様子を観察した。②については,数学学習では「概念形成のための例」と「概念獲得のための例」があることに注目し,素地指導では「概念形成のための例」が重要な役割を果たすことを発表した(全国数学教育学会,第46回研究発表会,6月25日)。また,教科書で見られる数学的概念の例を,表記・表現に関する研究の知見に照らし合わせて検討した。③については,早稲田大学の渡邊公夫先生とともに平方根の素地指導に関する導入教材を開発した。その教材を用いて研究授業を行い,実証的に検討した結果を発表した(全国数学教育学会,第46回研究発表会,6月25日)。また,昨年度開発した平方根の導入教材を再検討し,その内容を整理した。 以上,本研究の2年目は,「学習者に数学的概念の例をつくらせる」という教授方略に関する新たな教材を開発し,実証的に検討したとまとめられる。なお,諸般の事情で渡英調査はできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究を十分に考察できなかったことや,渡英調査を実施できなかったことが,「(3)やや遅れている」と判断する理由となる。なお,次の論文及び報告は,審査を経て採用となった。 (論文)川内充延,渡邊公夫「平方根の導入のための素地指導に関する一考察 -無理数の動的なイメージの構築を目指して-」(全国数学教育学会,数学教育学研究,第24号,第1巻,2018) (報告)川内充延,渡邊公夫「平方根の導入教材に関する研究」(日本教材学会,教材学研究,第29巻,2018)
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今後の研究の推進方策 |
今年度は渡英調査を実施する予定である。現地での調査をコーディネートしてもらうため,昨年度末に研究協力者と打ち合わせを行っている。日英の学習状況(教師の授業のやり方や教科書内容の捉え方,児童・生徒がつくる数学的概念の例など)を比較することを通して,本研究をまとめていこうと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会誌への投稿料や別刷り料などの請求が次年度になりました。次年度使用額をその請求に充てる予定です。
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