研究課題
中学生になった途端に理科の内容が難しいと感じる生徒が多い.特に,目に見えない現象,イメージし難い内容を敬遠する傾向にある.内容を理解しようと思っても,必要な基礎技能を身につけていなければ理解することはできない.理科は特に基礎技能を必要とする学習が多い.中学校の理科の学習を進めていく上で,小学生の理科や算数の何をしっかりと学ばせておけば,中学校に進学しても円滑に学習が進められるのであろうか.本研究の目的は小学生に重点的に指導すべき「押さえておくべき基礎技能」を特定することにある.最終年度は,水溶液の濃度計算におけるつまずきの要因を特定するために,「総合問題」「中位問題」「下位問題」の正誤を生徒ごとに分析し,生徒を6グループに分類した.これらのグループ間で「公式問題」「計算問題」「意識調査」の正答・誤答者数を比較分析した結果,生徒が水溶液の濃度計算に関する問題を解決する際につまずく要因が,「食塩水の構造」「溶液の構造」「食塩水の濃度の公式」「濃度の公式」「百分率から小数への変換」「百分率の計算」「方程式の計算」「濃度の公式の変形」の知識・技能の不足によるものであることが明らかになった.特に数学的技能のうち,「百分率を小数に変換して溶質を求める」での「百分率を小数に変換する」の数学的技能の習得が必須であることが明らかになった.この基礎技能は小学5年時で重点的に習得すべき技能であり,習得できていないと「水溶液の濃度計算」の問題は解決できない.この基礎技能の習得を重点的に指導していくことで,(小学校の理科や算数の学習内容から掘り下げた「カリキュラム・マネジメント」の視点をもって),生徒は水溶液の濃度計算に関する問題が解決できると考える.
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物理教育、日本物理教育学会
巻: Vol.66,No.2 ページ: 87-92
科学教育研究、日本科学教育学
巻: Vol.42,No.1 ページ: 25-36