研究課題/領域番号 |
16K04691
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
木下 博義 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20556469)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 理科授業 / 批判的思考力 / 質問紙 |
研究実績の概要 |
本研究では、子供の主体的・能動的な学びであるアクティブ・ラーニングによって、理科授業における小・中学生の批判的思考力を育成するためのプログラムを開発することが目的であった。そして一年次では、これまでに作成した質問紙および評価問題を改良し、アクティブ・ラーニングの視点から理科授業における批判的思考力を測定・評価できる新たな質問紙および評価問題を開発するとともに、それらを用いて実態調査を行うことを計画していた。 この計画にもとづき、他者との関わりを通じた批判的な思考に着目し、アクティブ・ラーニングの視点から理科授業における批判的思考力を測定する新たな質問紙を作成した。具体的には、これまでに作成した質問項目(23項目)に、他者との関わりに関する質問項目(11項目)を追加し、34項目からなる質問紙を作成した。続いて、広島県内の中学校2年生121名を対象にして調査を実施した。その結果、「他者との関わりによる批判的な気づき」「探究的・合理的な思考」「多面的な思考」「反省的な思考」「健全な懐疑心」という5つの因子のうち、「反省的な思考」の得点が他の因子に比べて相対的に低く、生徒は一度出した考えを振り返ることができていないことが明らかになった。さらに韓国・仁川広域市でもインタビュー調査などを行い、生徒の「反省的な思考」を高めるためには、「他者との関わりによる批判的な気づき」を促すような指導をする必要があるという示唆を得た。 以上の研究成果については、日本理科教育学会誌『理科教育学研究』に論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の3か年の計画は、次の通りであった。1年次:アクティブ・ラーニングの視点から質問紙・評価問題を開発し、実態調査を行う。2年次:批判的思考力およびアクティブ・ラーニングに関する中国・韓国の実態を調査するとともに、批判的思考力育成プログラムを開発する。3年次:開発した批判的思考力育成プログラムの効果を検証する。 以上の計画にもとづき、1年次では、理科における他者との関わりを通じた批判的思考力を測定する質問紙を作成し、それを用いて中学生の批判的思考力の実態を明らかにすることができた。このことから,研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
韓国での調査は概ね完了したため、2年次は、主に中国における批判的思考力およびアクティブ・ラーニングの実態調査を行うとともに、1年次の研究成果も踏まえて批判的思考力育成プログラムを開発する予定である。また、研究の成果を日本理科教育学会、日本教科教育学会で発表すると同時に、各学会誌への論文投稿を計画している。
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