本研究では、子供の主体的・能動的な学びであるアクティブ・ラーニングによって、理科授業における小・中学生の批判的思考力を育成するためのプログラムを開発することが目的であった。 そして3年次(最終年)では、これまでの研究で明らかにした効果的な指導を整理し、理科授業における小・中学生の批判的思考力を育成するためのプログラムをまとめた。 具体的には、小学校段階では、例えばプログラム学習などを取り入れ、自身が作成したプログラムの実行と修正を繰り返し行わせる活動を通して、批判的な思考力を育成するという指導法を開発した。実際の授業では、コンビニエンスストア入り口の映像を提示し、来客の際に照明が点灯し、しばらく経つと消灯するという仕組みをプログラミングさせた。 さらに、中学校段階においては、例えばファシリテーションなどを取り入れ、ファシリテーター役の生徒にグループ内で批判的な指摘を行わせるとともに、それをもとにして他の生徒に自身の考えを吟味させる活動を通して、批判的な思考力を育成するという指導法を開発した。実際の授業では、燃焼前後で木片は軽くなるがマグネシウムは重くなる原因について、フロギストン説とこれまでの学習経験をもとに仮説を考えさせた。 以上のように、児童・生徒の発達段階を考慮した指導法を考案するとともに理科授業に導入し、量的および質的な分析を行い、アクティブ・ラーニングによって批判的思考力を育成する連続的なプログラムを開発した。
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