研究課題/領域番号 |
16K04693
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松本 仁志 広島大学, 教育学研究科, 教授 (40274039)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 筆順 / 筆順史 / 資料化 / データベース |
研究実績の概要 |
平成29年度は、字種、字体種、筆順種、筆順の表記方法、筆順根拠、筆順の機能性、などの要素間の関連付け及び文献に初出した年代、付記文の扱いの検討を進め、それらをどのように資料化するかについて検討することを課題として、次のように研究を進めた。 1.要素間の関連付けの検討を資料の検索パターンをイメージしながら次のように進めた。 ①同じ字種でありながら異体字が存在する場合、各字体に合わせた筆順を提示している場合と異体字でありながら古い版本の筆順をそのまま転用している場合など、字体種と筆順種の関係性について検討した。 ②字源系筆順と結構系筆順とでは目的が異なるので、意味部分結合式表記と点画累加式表記のように筆順の表記法が異なる。字種、字体種、筆順種の関係性の理解は比較的容易だが、そこに筆順根拠を絡めようとすると資料化の際の表記の扱いが複雑になる。このような筆順根拠間の関係性の資料化の際の課題について検討した。 ③機能性を根拠とする筆順において、「書きやすさ」「整えやすさ」「覚えやすさ」といった働きが混在している場合が多く、点画累加式表記からそれらの働きの存在を読み取ることができるのかを検討した。 2.HNG(漢字字体規範データベース)を参考にし、紙カードによるモデルを作成しながら、画像化とテキストデータ化といった電子化に向けた方向性を検討した。ただし、筆順部分の示し方については表示方法の多様性や表示スペースの相違、字源系筆順の史料に多く見られる付記文の扱いなどについて、検討課題を残している。 3.Web公開を念頭においた検索システムの検討については手をつけていないが、8名の資料整理要因を雇用して、字種・筆順の検索に備えて、文字番号を付与する作業を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
字種、字体種、筆順種、筆順の表記方法、筆順根拠、筆順の機能性、文献に初出した年代、付記文などの要素間の関連付けの検討において、機能性を根拠とする筆順内に混在する「書きやすさ」「整えやすさ」「覚えやすさ」といった働きを点画累加式表記から読み取る方法については、これといった工夫ができていないため。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度に引き続き筆順資料の紙カードレベルでの複数モデルを作成する中で、まず機能性を根拠とする筆順内に混在する「書きやすさ」「整えやすさ」「覚えやすさ」といった働きを点画累加式表記から読み取る方法について結論を得る。その後、モデルの絞り込みを行ない、成果として筆順資料のモデルとして確定する。その際、資料の画像化、テキストデータ化、さらにはWeb公開を念頭においた検索システムの具体的な検討を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)資料収集はほぼ完了したが複写費の計上を必要としなかったため。また、資料モデルの作成が完了しておらず、その作成過程において「その他」に該当する費目を使用する必要が生じなかったため。さらに、物品費および旅費の使用において、若干の残額が生じたため。 (使用計画)最終年度にあたるため報告書の印刷費の一部として使用する。また、学会発表費用の一部として使用するとともに、最終の資料モデルに掲載する画像データの精度をあげるための人件費として使用する。
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