筆順の変遷過程の資料化は初めての試みであり、本研究ではそのための条件整備を行いデータ・ベース化への道筋をつけた。資料化が可能になれば、筆順変遷の原理や背景に関するこれまでの仮説的解釈について裏付けを得るとともに、次のような展開が見えてくる。 (1)データ・ベース化が実現すれば、広く漢字圏諸国における筆順史研究の基礎資料として活用され、筆順変遷に関する新たな解釈の可能性も広まる。(2) 資料を活用することで、学校教育における教条化した筆順指導を見直し、筆順の効果や意義への理解を踏まえた指導の開発につながると考える。
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