昨年度作成した〔共通事項〕の学習段階の観点による幼児期の「音楽表現カリキュラム」を、研究代表者の所属学園の大学附属幼稚園で年間を通した園内研修で検討しながら実施した。カリキュラムの実施により、〔共通事項〕の「音楽を形づくっている要素」の概念やそれらを意識することによる音楽活動の面白さの理解について教員間に差があること、そしてそれらが保育に影響を与えること、「音楽を形づくっている要素」を意識することによって教材に幅が生まれること等が確認された。それらは、「幼児期の音楽表現活動に対する教師の音楽観に関する研究」として、本学園研究成果報告書(令和元年度)にまとめた。同園では、このような本年度の実践研究を踏まえて改訂した「音楽表現カリキュラム」を次年度より実践していく。また、本年カリキュラムを事例を通して検討していく中で、カリキュラムの趣旨を反映する事例として「合いの手」の事例を「保育Lab」というWebサイトに公開した。 また、就学以降の〔共通事項〕を中心としたカリキュラム開発において本年度の研究の主要テーマであった音楽科の「資質・能力」について、音楽学習学会第15回研究発表大会(2019年8月25日)の全体会「音楽科のアイデンティティを検証するー音楽科で育てる「資質・能力」とは何かー」において、コメンテーターとしてその整理と提案を行った。そして、現学習指導要領の観点から、音楽カリキュラムにおいて音楽が他教科と深く関わる領域の学習について、「教科の枠を超えた事象における音楽活動の音楽学習への機能―音楽科の〔共通事項〕の学習内容を中心としたカリキュラム構想からー」(椙山女学園大学教育学部紀要13)にまとめた。 これらの研究をもとに〔共通事項〕の学習段階を明示したモデルカリキュラムを次年度発表する。
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