令和元年度は,ドライバー操作技能指導法の開発を目指す一連の研究の総まとめを行った。具体的な実績として,「技能測定ドライバーシステム」を用いた中学生に対する技能実践を基に開発した技能指導法(「指導の要点」)を纏めた論文:「技能測定ドライバーシステムの開発と中学生の巧緻性評価」が採択され,日本産業技術教育学会誌,第61巻第2号に掲載された。 この論文で提案した「指導の要点」の妥当性を検証するため,ドライバー操作が不器用と予測される中学生を対象とした最終実践を行った。実践では,筆者らが開発した,内部に各種センサを装填した「技能測定ドライバーシステム」を用いて,指導前と指導後で被験者の各センサデータ等にどのような変化が見られるのかについて分析・評価した。 実践の被験者は,予備調査(技術科のものづくり場面を観察し,手先の器用・不器用状況を判定)で選抜した「不器用者」である。実践では被験者に,まず試材(角材)に予め挿入した木ねじを「緩める」操作(指導前操作)を行わせた後,後述する技能指導を行い,再度木ねじを「緩める」操作(指導後操作)を行わせた。データ収集は,指導前・後操作とも緩め開始から終了まで行い,操作の様子はビデオカメラで撮影した。なお,過去の実践で,加速度データは操作状況に関わらず顕著な変動が見られなかったことを踏まえ,本実践でも分析対象から除外した。 以上の最終実践の分析・考察から,一連の研究を通して考案・開発した技能指導法(ドライバー操作で求められる力の加え方,持ち方等の指導)が,ドライバー操作技能向上に一定の効果があることが確認された。 この成果は,令和元年8月に開催された「日本産業技術教育学会・全国大会(静岡大学)」において「中学生に対するドライバー技能指導の要点の評価」という演題でその概要を発表した。
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