研究課題/領域番号 |
16K04701
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鈴木 慶子 長崎大学, 教育学部, 教授 (40264189)
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研究分担者 |
土山 和久 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00273821)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 観察研究の不足 / 書字に関する発達 / 書字に関するカリキュラムの再構築 / 板書の視写速度 / メモ活動 / 内容理解との関係 / 個人差 |
研究実績の概要 |
ドイツの文字学習テキストが日本のそれと最も異なる点は、「なぞる、書く、描く」に限定されない多様な活動を仕組んでいることである。その活動を、さらに、個人で取り組む場合、パートナーと共に行う場合、及びグループで取り組む場合などに広げている。授業参観では、伝統的な方法と革新的な方法の両方を観察した。両方とも、日本に比較して身体活動を導入し、ワークブックに収載されている活動を行っていた。日本でも従来の静的単一的な文字学習を変革していく必要がある。そのためには、児童がどのように音声と文字とを一致させながら文字を書いていくのか、教科学習内容を伴う書字の発達はどのようになっているのか等の地道な観察研究が要請される。 最終年度である本年度は、これまでドイツの入門期文字学習テキストの分析及び授業研究と並行して行っていた長大附小児童の書字観察結果を上記の視点で整理考察し、下記のようなことがわかった。なお、観察は国語科授業中の児童の筆記に焦点化した。 1年生:教師の板書を視写する。その速度は1分間に13~27字程度。一度の目視で視写できる字数は1~5字。聴写、暗写は行わなかった。授業中に観察した範囲では、想記(自分の考えを書く)の場面は設定されていなかった。2年生:教師の板書を視写する速度は1分間に平均7~30字程度。一度の目視で視写できる字数は2~3字。この字数についてはむしろ1年生より少なくなっている。その理由は、漢字を含む文言で非常に苦労している児童が見られたことによる。また初めて想記の活動が設定された。 3年生:教師の板書を視写する速度は1分間に平均21字~51字程度。一度の目視で視写できる字数は2~9字板書以外の教師の発言や友人の発言をメモする児童が見受けられた。学習時の書字の発達が明確に観察された。 3年間の観察からa漢字の習得、b授業内容の理解とが関連していることが推測できた。
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