「プラズマ」は中高理科教育においてほとんど取り扱われてはいないが、一昨年度に実施した調査の結果、「プラズマ」という用語自体は中学生にも広く浸透していることが明確となった。日本の中学校理科の教科書中にもプラズマと強く関連した事例が数多く記載されている。このため、今後の中高理科教育に「プラズマ」の導入を検討していく必要がある。 今後、広域的な議論へと発展させていくためには、基礎的な調査と共に実践事例の蓄積が必要である。本研究では、いく つかの基礎的な調査を行うとともに、「主体的・対話的で深い学び」を踏まえた授業実践を行った。本年度の研究で得られた主な成果を以下に記載する。 ・中学校理科の教科書中における真空放電の単元を教育学部の大学生に読ませた後、真空放電やクルックス管の発光理由を問うアンケート調査を実施したところ、その理由を科学的に正しく説明できる学生はほとんどいなかった。つまり、現在の中学校理科における真空放電の単元はこのままでは深い理解が困難な状況であることが明らかにされた。 ・真空放電に関するプログラミング教材を作成し、中学生を対象とした授業実践研究を行った。その結果、本研究で作成したプログラミング教材は真空放電の単元を科学的に正しく理解するために効果的であることが示された。 ・オーロラに関する知的構成型ジグソー法授業を実施した結果、プラズマは中学生にでも十分に理解可能であり、「主体的・対話的で深い学び」に沿った授業プログラムを作成可能であることがわかった。
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