研究課題/領域番号 |
16K04706
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研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
植木 岳雪 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (40371025)
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研究分担者 |
小森 次郎 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (10572422)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 理科教育 / 地学領域 / ボーリング / 教材開発 / 授業支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,小中高等学校の理科地学領域における野外自然体験学習の代替となる機材・方法を開発することであり,野外での露頭観察の代替としてボーリングコアを取り上げる.そして,さまざまな機材・方法で採取された標準ボーリングコアを用意し,それを学校に送付して地学領域の授業で活用してもらう「ボーリングコア貸し出しサービス」と,学校に研究者が出向いて半機械式あるいは人力でボーリング掘削する「ボーリング掘削サービス」の2つを確立させることを目指す.平成28年度からの3年間で,さまざまな方法・機材によって標準ボーリングコアを用意し,標準コアを用いた授業実践および学校で独自に採取したボーリングコアを用いた授業実践を行う.そして,ボーリングコアを用いた授業実践のハンドブックを作成し,2つのサービスサービスを開始する. 平成28年度は,研究の初年度にあたり,土浦市において機械式ボーリング掘削(ロータリー式ボーリング)を専門業者に委託し,長さ 30 mのコアを掘削した,そして,コアの処理と層相観察などを行った結果,深度0~2.3 mは人工の地層,2.3~3.3 mは河川の砂,3.3~6.9 mは海の泥,6.9~10.5 mは河川の砂礫,10.5~19.6 mは海の泥,それ以下は川の砂礫であった.このような層相変化は,最終氷期から後氷期における気候・海面の変化と,大きな河川の地形・堆積物の成長過程を反映しており,千葉県東部から茨城県南部にかけての自然の変化を示す標準的なコアになることがわかった.また,半機械式ボーリング掘削機材(パーカッション採土器ボーリング)と人力ボーリング掘削機材(ジオスライサー)を専門業者に特注で作成してもらった.そして,半機械式ボーリング掘削と人力ボーリング掘削の方法を銚子市内で試行し,それらのノウハウを蓄積した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度には,標準ボーリングコアを用いた授業実践をいくつかの学校で行う予定であった.しかし,標準ボーリングコアを採取する適地を選定するために,既存の公共ボーリングデータを整理したところ,当初の銚子市は不適で土浦市の方が適していることが分かった.そのため,標準ボーリングコアを掘削する場所を選定し直し,地権者との用地交渉や専門業者の掘削機材・人員のやりくりから,ボーリング掘削の実施時期が遅くなり,学校における授業実践を行うことができなかった.また,研究成果の発信のためのブログを解説することができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,前年度に土浦市で掘削された長さ30mの標準ボーリングコアに放射性炭素同位体年代測定による絶対年代を入れて,千葉県東部から茨城県南部にかけての過去数年間の地形・地層の成長モデルを作り,気候・海面変化との対応を確かめる.銚子市内においてパーカッション採土器,ハンドオーガー,検土杖を用いたボーリング掘削を行い,半機械式および人力による標準ボーリングコアをなるべく多く用意する. 授業実践については,銚子市とその周辺地域の学校において,研究者と学校教員が協同して,標準ボーリングコアを用いた観察授業を行う.また,学校に研究者が出向いて,パーカッション採土器,ジオスライサー,ハンドオーガー,検土杖,シャベルによる半機械式および人力ボーリング掘削の体験授業を行う.これらの授業実践を通して,「ボーリングコア貸し出しサービス」と「ボーリング掘削サービス」のノウハウや問題点を蓄積する.最後に,ホームページやブログによる,情報発信を開始する.
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