研究課題/領域番号 |
16K04723
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
山口 孝治 佛教大学, 教育学部, 准教授 (50460704)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 体育科教育 / 授業研究 / 授業分析 / 教授戦略 |
研究実績の概要 |
本研究は,小学校高学年担当の若年教師1名を対象に,彼の授業実践を観察・分析し,教授戦略発揮の割合(インセンティブ,スクリーニング,シグナリング,コミットメント,ロック・イン,モニタリングの6つの教授戦略の発揮の割合)について検討することを目的とした.対象となった被験教師は採用2年目の教師であり,彼の走り幅跳びの授業実践の中で,単元の序盤・中盤・終盤にあたる3単位時間を分析対象とした.各授業は4台のVTRを用いて多方面から収録するとともに,収録した授業は「体育科における教授戦略観察法(ORRTSPE観察法)」(山口ら,2012)を用いて分析を行った. その結果,「モニタリング&コミットメント」の複合戦略の発揮の割合が32%と最も多く,次いで,インセンティブ戦略(13%),シグナリング戦略(9%)の順で多かったことが明らかになった.一方,スクリーニング戦略(4%)が最も低いことが認められた. これらのことから,被験教師は,インセンティブ戦略を通して,学習のねらいを明確にさせようとしていたこと,課題解決に向けてモニタリング戦略とコミットメント戦略を発揮し子どもの動きの観察及び矯正的フィードバックを積極的に行っていたこと,さらに,シグナリング戦略による観察学習を通して,児童に課題解決に繋がる「動きのポイント」を理解させようとしていたものと推察された.しかしながら,スクリーニング戦略発揮の低調さにより,児童の思いと教師の思いとのズレが生じ,子どもの学びの文脈に即した展開が十分に進められず,そのことが児童の学習成果(態度得点)に影響を与えたものと考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,若年教師を対象とした事例分析が行えたところは予定通りに進めている.一方で,その対象事例が1事例しか行えておらず,複数事例の分析を予定していた点から考えると遅れも認められる.データの収録は済んでおり分析を行う必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
収録したデータを分析することで事例数を増やしていきたい.2年目の計画では,1年次の被験教師を対象に,彼らの教授戦略の変容を実践的知識の介入(山口ら,2011)により進めていくことを計画している.この点については,被験教師の確保,授業実践日の設定等については調整済みのため,計画通りに進むことが期待できる.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた学会参加費や旅費,人件費に関する費用が少なくてすんだことにより余剰金が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の余剰金については次年度の旅費(学会参加費を含む)に充当する予定である.
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