研究課題/領域番号 |
16K04726
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研究機関 | プール学院大学 |
研究代表者 |
間處 耕吉 プール学院大学, 教育学部, 講師 (00757049)
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研究分担者 |
吉冨 健一 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (00437576)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インプット,アウトプット / イメージインプット / 地学 / 思考活動 / 月の満ち欠け / 火成岩の観察 |
研究実績の概要 |
小,中,高等学校における地学領域の学習は,複雑で巨視的な事象を取り扱うため,学習者にとって理解が難しく,暗記するだけの領域に陥りやすい。本研究では,先行研究の成果を元にして,第2言語習得の学習理論を参考に,地学領域の様々な単元について,十分なインプットを重ねて,必要に応じたアウトプットを仕組む学習活動を考案し,検証授業を進めていった。 視点移動能力の育成が鍵となる小,中学校の天文領域,中・高等学校地学基礎における火成岩の観察などにおいて,ICTを活用した新たな教材開発と学習過程の構成のあり方に関わる研究を進めていった。これらの研究から,天文領域,特に月の見え方の学習においては,月や太陽,地球の空間的な配置図を頭の中で描き,その配置図を操作するイメージをもたせることによって,配置図から月の形を読み取ったり,逆に月の形から月の軌道上の位置を推測したりすることが可能となる。火成岩の観察では,先に偏光顕微鏡画像を観察させてつくりの違いのイメージを持たせることによって,実際の火成岩のつくりの違いを正確に捉えさせる事ができるようになる。これら個別の成果については,所属学会において発表と論文発表を行っている。 (口頭発表)「薄片ムービーによる火成岩のとらえ方の変化」,日本理科教育学会第66回全国大会,2016.「金星の新指導を応用した,小学校,『月の形の見え方』の学習指導」,日本地学教育学会第70回全国大会,2016.「火成岩の理解を深める学習活動の効果と意義」,日本地学教育学会第71回全国大会,2017.(ポスター発表)「イメージインプットを取り入れた地学領域の学習指導」,日本科学教育学会全国大会,2016,(論文発表)「金星の新指導を応用した,小学校「月の形の見え方」の学習指導」,プール学院大学研究紀要第57号,187-197,2016.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小,中学校の天文領域(月の満ち欠け),中学,高等学校の地質領域(火成岩の観察)に関しては学習過程の考案,ICT教材用のコンテンツ開発は完了し,検証授業も終え一定の成果の確認ができている。個別の成果については学会発表もできている。ICT教材用コンテンツの開発については未完成のコンテンツもあるが,主題である地学領域におけるインプット,アウトプットの役割についての考察を進める段階に来ているため,おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度のまとめの段階に当たるため,新たな検証授業の実践は行わず,ICT教材開発に関する論文と主題に関する論文をそれぞれ執筆し投稿する予定である。また,本研究では,地学領域の学習における重要な要素として「イメージインプット」を提案している。このイメージインプットにつながるICT教材コンテンツの開発は,さらに領域を広げていくことが必要である。そうした領域拡大と今後のバージョンアップに備えて,イメージインプットにつながる学習活動の場面に即した新しい映像コンテンツの収集を継続いていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表への参加回数が計画当初より少なくなったため,旅費の支出が少なくなり,次年度使用額が生じた。 今年度,模擬授業用のタブレット端末2台を購入する計画である。現有台数は5台しかなく,タブレット端末の台数はまだ十分ではないため,次年度使用額はこの購入費に充てて,台数を購入台数を3台にする。
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