研究課題/領域番号 |
16K04736
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
境 智洋 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40508537)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サイエンスフェア / 自由研究 / 問題解決能力 / 評価 / 小学校 / へき地小規模校 |
研究実績の概要 |
釧路管内の2小学校においてサイエンスフェアを試験的に実施し、自由研究発表の実践的検証を行った。平成28年度に入手したサイエンスフェア発表用のボードをもとに、観音開きの「自由研究ボード」を平成29年度に開発し、段ボール加工業者に発注した。この自由研究ボードを、2校での研究発表に使用した。この際、自由研究ボードに記載させる内容は、問題解決の流れに沿った内容となるように、形式の見本を提示した。このことにより、児童の研究の内容や方法が変わって来たことが伺えた。この研究発表ボードの開発と成果については平成30年度に学会で発表する。さらに、実践校を増やし、平成30年度はへき地小規模校も視野に入れていく予定である。 平成28年度のサイエンスフェアを実施している小学校・中学校の調査を受けて、29年度はアラスカフェアバンクス校の協力を得て、各学校大会の上位大会である「サイエンスフェアフェアバンクス大会」の取り組みの視察及びその状況を調査した。サイエンスフェアフェアバンクス大会における審査、審査結果の表示及び表彰式、さらに実施後の学校を視察した。このことより、上位大会のシステムや運営方法が明らかとなった。また、審査の状況を審査員や運営者に聞き取ることでどのように審査を行っているかがわかり、サイエンスフェアの実施方法が明らかとなった。この実施方法については、現在論文執筆中である。 各学校におけるサイエンスフェアの取り組みとともに、現在、この上位大会の実施方法を北海道環境財団等のNPOと連携しながら探っている状況である。平成29年度は、地学教育学会において、上位大会実施については、地域の科学イベントでの可能性があることを地学教育学会で発表した。今後は、上位大会を設け、自由研究の発表の場を確保することで、本研究の「児童の問題解決能力育成を図るためのシステム」が作り上げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自由研究ボードの製作が地元の業者の協力があり独自の自由研究発表ボードが完成した。この自由研究ボードの開発により、自由研究の実施校において活用が図られ、ボードを使うことによって児童の問題解決能力の育成に寄与できることがわかってきた。この状況及び成果について平成30年度に学会で発表を行う。しかし、当初見込んでいた羅臼町での取り組みが行われていない。学校において新しい事を導入することへの抵抗が大きく、現在、実施の方向を手探りしている状況である。 アラスカ州フェアバンクス地区における学校のサイエンスフェアの取り組みとともに、その上位大会であるフェアバンクス・ノーススター教育区サイエンスフェアを視察し、その実施方法や評価方法について検討することができた。この成果について論文執筆中である。しかし、アラスカ州アンカレッジ地区のサイエンスフェアの取り組みについては、29年度はフェアバンクス地区の上位大会の調査に追われたため実施していない。次年度の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
アラスカ州アンカレッジ地区におけるサイエンスフェア実施の状況を調査し、情報を入手する。フェアバンクス地区だけでなく、アラスカ州で広く取り組まれているサイエンスフェアの状況を把握することにより、一部地域ではなく、広く児童の問題解決能力育成に寄与するシステムが運用されていることを明らかにする。また、サイエンスフェアが都市部だけでなくへき地小規模校でも広く取り組まれているシステムであることを把握する。この調査により、北海道のような小規模校が多い地域であっても、都市部だけでなく、へき地小規模校もシステムに取り込むことによって、児童の問題解決能力の育成を図ることができることを提示できる。 アラスカ州の取り組みとともに、道東において行われ始めた自由研究ボードを用いた自由研究発表会の成果を発表するとともに、この取り組みを実施する学校を増やし、自由研究発表に関するシステムの実践検証を行う。この成果及び評価を行い、本研究の報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成28年度の学校調査、平成29年度のフェアバンクス・ノーススター教育区の上位大会調査によってフェアバンクス地区のサイエンスフェアの取り組みは把握できた。しかし、アラスカ州でのサイエンスフェアの実施状況を把握するためには、他地域の状況も把握することが必要である。29年度にアンカレッジ地区の調査を盛り込んでいたが、フェアバンクス地区のサイエンスフェアと実施時期が重なり調査をすることができなかった。そのため、アンカレッジ地区のサイエンスフェアの状況調査を実施するためにに、資金を次年度に繰り越すこととした。 (使用計画)アラスカ州アンカレッジへの調査(10日間)、研究成果の学会発表及び成果報告書の作成を行う。
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