へき地小規模校における児童の問題解決能力育成を図るためのシステムの開発を行った。この開発したシステムを北海道内の小学校を用いて実践的に検証を行った。今までの総合的な学習の時間等で行われてきた児童の研究発表のスタイルを見直し、児童の自ら見いだした課題を基に問題の解決から成果発表を行わさせるためのシステムを取り入れることで、児童が自らの研究を自信を持って発表する姿や、課題解決が次の課題を見いだし、課題解決する楽しさを実感する児童の姿を見ることができた。これらのシステムを指導する教師の評価から本システムの有効性を検証することができた。 本研究はアラスカ大学フェバンクス校の協力を得て、アラスカ州で行われているサイエンスフェアの実施状況とその実施のためのシステムを研究した。結果、児童の問題解決能力の育成を図るモデルとして有効な情報を得ることができた。この情報をもとに日本で取り組むことができるよう取り組み方法を検討し、研究の発表を「研究ボード」1枚に収める方法とそのボードにどのようにまとめていくか、その研究の評価方法を検証するために、研究初年度より、モデル学級を設定し、釧路管内標茶町教育委員会の協力のもと、標茶小学校5年生で行った。研究2年目には、研究ボードを開発し、ボードを用いた児童自身の研究(ジュニア研究)が本格化した。3年の研究の末、1つのモデルとしてジュニア研究・釧路湿原サイエンスフェアを実施できるようになり、児童自身の課題把握から問題解決を行うプロセスを踏んだ「ジュニア研究」発表会及び研究展示会を実施できるまでなった。また、このシステムを用いたジュニア研究は1年目は1校、2年目は3校、そして3年目は釧路管内3校、根室管内1校、十勝管内3校まで広がりつつある。その取り組みは小規模校だけでなく、大規模校の児童の問題解決能力の育成に寄与できるものになった。
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