研究課題/領域番号 |
16K04738
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
加藤 宏 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (50177466)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 希少教科 / 教員養成課程 / 開放制 / 設置基準 / 教育の質保証 / 免許状更新講習 |
研究実績の概要 |
希少免許の「希少」とは何かを定義しさらに分類するために現行の教員免許状関係法規、諸基準・制度を分析し類型ごとに分類した。希少教科の教員養成過程を維持している大学では、設置の歴史的経緯や大学立地の地域性などの要因が重要であることが分かった。また、「国語」ではなく「書道」、あるいは「特別支援教育」の中の特定障害領域に限定した免許の養成課程等では、社会的ニーズよりも設置機関のリソースと認定基準のマッチングの課題が優先されていることが分かった。 教職課程の教育の質保証のための取り組みには国の課程認定制度や再課程認定制度、また実地視察制度等があるほか国立大学教育大学協会と一部私立大学の加わった自主的なアクレディテーションの取り組みはあるが、このような自主的認証制度でも教員養成教育の質保証のチェックは表面的に基準を満たしているかがチェックされるのみで、評価報告書からは個々の養成課程のかかえる問題などは明らかにならないことがわかった。 希少免許のかかえる問題は、その大学時代の養成のプロセスの問題に限らず、卒業後または教員になってからの研修の保証にも関わることが分かった。免許取得者が多く、養成課程を有する大学の数も多い免許種では、当該教科の再教育や再研修を受ける場も広く提供されているのに対して、希少免許種の場合は、免許状更新講習においても免許に定められた教科に特化した教科の講習を受けられる機会が少ないことが分かった。また、希少免許の教科に特化した教員免許更新講習を開設している機関は、その免許種の養成課程を有する大学とは限らず、当該希少教科の養成課程を有しない大学や教育委員会等によっても運営され、そのことが希少免許のための教員教育の質保証の一端を担っていることを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
29年度は、28年度に策定した類型化による調査項目に基づき、希少免許養成課程の全国調査をアンケート調査法により実施する予定であったが、大学以外の教育委員会や免許更新講習を開設できる機関も希少教科免許の教育質保証には深くかかわっていることがその後の文献調査等で分かり、現在、調査項目及び調査対象の再設定と作業を行っているため当初の調査計画が遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
30年度は28年度及び29年度の資料収集と実地調査を踏まえて、希少免許状の設置基準のガイドラインの試案を希少免許の類型別に策定する。なお、最終年度として作成したガイドラインを国内の関係学会等で発表し、関係機関等に提言する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)旅費の消費が少なかった。 (使用計画)希少教科課程認定大学を集中的に実地訪問調査する。海外の教員養成課程大学への海外出張調査もする。教職課程のある国公私立の全国の大学のアンケート調査の実施とデータ整理を外注にて行う。
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