研究課題/領域番号 |
16K04738
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
加藤 宏 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (50177466)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 希少教科 / 教員養成 / 質保証 / コアカリキュラム / 教科教育 / 教科指導法 |
研究実績の概要 |
教員免許には、主要5教科と言った教科以外にいわゆる希少教科の免許があり、そのための養成課程が大学にはある。しかし、これら教科の免許については、養成課程数や就職率、さら養成課程カリキュラム等についても主要教科の養成課程よりも情報も少ない。本研究では、これら希少教科免許について養成課程の特徴を調べ、主要養成課程との差異、希少課程特有の課題と存在意義などを考察する。 希少教科の免許状問題は、平成29年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」の第14項目として「免許外教科担任の縮小に向けた方策」が盛り込まれたように、免許外教科担当の問題と切り離せない。希少教科を含む免許外教科担当の問題は、現職教員が、免許外教科担任をすることを縮小し、必要な校種・教科や教員免許状取得者の少ない校種・教科の免許状を取得する機会を拡大するという方法での対策が検討されているが、養成する大学側としても採用数も採用試験受験機会も少ない希少免許の養成課程を維持することの課題を抱えていることが分かった。対策の一つとしては、希少免許の授与数の増大に関しては、他の免許を所持している教員への認定講習制度のさらなる拡充と活用が有効であると考えられる。 また、希少免許教科は実業高校での職業実践に結び付いた科目が多く、深い教科専門の知識と教科指導法のより実践的学びが要求されている。しかし、実態は大学入学時の競争倍率でも教員採用試験の競争倍率においても主要教科に比し、高度な教科の知識と指導力を持っていることはむしろ期待できないという要求と教育力の乖離が課題となっていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今後の教員免許取得者数は現時点での全国の養成課程大学の実態に即して推計しなければならないので、各大学の免許法改正後の養成課程の状況を再調査することとした。しかし、ホームページの情報更新等に改正法に適合するために行った学内での再課程認定申請時の対応状況等の反映が行われていない大学が多く、全体的状況が把握しにくい状況に現状はある。今後、各養成大学は改正免許法に合わせた課程の養成状況を教員免許法施行規則二十二条の六に義務付けられた項目ついて情報公開してくると考えらえるので、実地調査と合わせて改正教員免許法に適合した各養成課程の情報収集を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
希少教科の養成課程を行っている大学中心に再課程申請時の対応状況をホームページ等から情報収集し、特徴的対応を行った大学を抽出して訪問調査する。改正免許法では新たに定められた各科目のコアカリキュラムとシラバスとの対応関係と教科指導法と教科専門科目の一体化が養成大学等に求められた。希少免許の養成課程では、あらたに設定されたこれら基準に適合させるために限られた学内リソースの利活用の見直しを迫られたと考えられる。今後の調査では、特に改正法適合のための各養成機関の対応を中心に調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に全大学一斉の教職課程の再課程申請が行われたために、各大学が改正法に対応するカリキュラム改正を行ったため、改正前だけではなく改正後の実態調査を加えた方が今後の教職課程の動向と現状把握に資すると考え、改正後の養成課程大学の実地調査費を残した。2019年度には改正法への対応の類型的パタンを抽出して改正状況を実地調査する。
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