研究実績の概要 |
教員免許の種類は学校種と教科ごとで78種あり,全体では約200種の免許種が存在し、その養成課程の総数は,再課程申請前には全国で752養成校、約2万3千課程に達していた。しかし,30年度の全国一斉の再課程申請後には課程数は19,416課程にまで減じた。減じた課程の中には、「宗教」や「商船」といったいわゆる希少教科の課程も含まれていた。しかも,免許教科によって養成校数にも地域差にも大きな開きができ,希少教科免許の養成課程に限った場合は,数の減少は地域差も含め適切な競争原理の下での教員の質保証以前に教員確保の危機の問題につながる可能性があることがわかった。 免許外教科担当制度は現職教員が,希少教科を含む免許外教科担任をすることを縮小し,必要な校種・教科や教員免許状取得者の少ない校種・教科の免許状を取得する機会を拡大するという方法での対策として従来から行われてきたが、教員の質保証からは問題が指摘されていた。 希少教科には,「宗教」から英語以外の外国語,「看護」,「商船」などの「職業系」など多様である。特に「商船」はもともと「東京海洋大学」と「神戸大学」の2校だった養成課程が,東京海洋大学のみとなった。 再課程の前後ともに課程数は200校以上を数えるが免許外担任制度上課題があるのが「情報」である。国公私立大学を含め県内に養成課程を持つ大学が1校も存在しない県が再課程申請でできた。情報教育の重要性が叫ばれる中,今回の再課程申請は,少なくとも「情報」に関しては,時代の要請に即した教員養成改革になったとは言えない。「工業」に関しても,戦後の産業振興の一環として工業科教員養成施策の一環として取られた「工業」の専門教育の単位を修得するだけで「工業」の教員免許を取得する制度が残存したことも多様化する学校現場に対応できる教員養成課程の設置という観点からは課題が残された形となった。
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