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2016 年度 実施状況報告書

予防キャリア問題教育に関する教科間連携の日仏比較とカリキュラム開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K04740
研究機関群馬大学

研究代表者

上里 京子  群馬大学, 教育学部, 教授 (80202448)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードカリキュラム構成 / カリキュラム開発 / 予防キャリア問題教育
研究実績の概要

本研究は、日仏で続けられているキャリア開発と予防キャリア問題教育に関する「教科の再構築」、そして「各教科のカリキュラムの問い直し」論議とカリキュラム改革の実態を、フランスの「予防・健康・環境」科を中心とした関連教科の内容と、日本の家庭科を中心とし生活科・社会科・技術科・サイエンス教科・道徳にまたがる教育内容に焦点をあて、比較分析を行うことを目的とし、初年度は主に研究方法論を検討した。
日仏比較の方法論として、教育課程における生活教育関連教科の科学的概念と子どもの生活概念の相互関連性を、現行のカリキュラムと教科書分析、教育実践分析を通して教材論レベル、授業実践レベルで実証的に検討することを計画した。
フランスでは、科学的な客観的知識・技能の伝達を通して、子どもの理性を研磨するという主知主義が伝統的な教育概念であり、それに対して、フランスの新教育は生活主体としての人間の全面発達を目指してきた。これらの蓄積が、今日の子どものための柔軟な教育課程と活動主義の教育方法の展開に受け継がれ、現在は「能動的な認識主体形成」が重要な教育課題となっている。すなわち、現在のフランスの教育課程では、主知主義の学力概念に基づきながらも、柔軟に普通教育課程全体と関連させながら各教科の科学的な客観的知識の系統性に基づいた独自性と相互関連性が追求され、教科の多元的な「総合化」と「分化」が同時並行で現れていると考える。その双方の立場のキャリア教育教科の内容を明らかにして、それらの連関を読みとり、従来の日本の進路指導中心のキャリア教育だけではなく、キャリア開発とキャリア問題を解決し、ワーク・ライフバランスを構築することが可能となる予防キャリア問題教育カリキュラムの開発に有効な示唆を得たいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度の研究計画に沿って遂行できた。
はじめに基礎的な作業として、キャリア教育の日仏比較研究のために、日仏における教育課程論や生活教育に関する文献・資料の収集、整理を進めた。平成28年度は、特に、フランスの「予防・健康・環境」科の学習指導要領や教科課程に関する文献・資料を調査・収集した。
また、日仏比較研究に不可欠な、キャリア教育、家政・生活教育、サイエンス教育、テクノロジー教育における基礎概念やTechnical Termの内容や特徴を明らかにし、それらを比較可能にする研究方法論について検討を行った。さらに、これらの作業課題を遂行した上で、次年度以降の日仏比較研究に有効な基礎概念やTechnical Termの整理を行った。

今後の研究の推進方策

本研究の方法論に基づき、フランスの初等教育に設置されている「科学・技術Sciences et Technologie」科教育、コレージュでの「技術Technologie」科教育、職業リセの教養教育科目「予防・健康・環境」におけるキャリア開発・予防キャリア問題の教育内容における科学的概念的と生活概念の関係性の特徴について、学習指導要領及び教科書の分析を通して解明する。
さらに、フランスの「世界の発見」科、「公民」科、「道徳」におけるキャリア開発・予防キャリア問題教育の内容と、子どもの生活概念との関連について学習指導要領及び教科書の分析を通して検討する。
一般的には科学教育はアナリシス(Analysis:分析)、生活教育はシンセシス(Synthesis:総合)が主体になるといわれているが、フランスでは科学リテラシーと市民生活のリテラシーを関連させる方法論として、教育課程開発でこの両者を採用していることが予想される。
そこで本研究では、教育内容における科学的概念的と、こどもの生活概念を関連づける方法論に焦点を当てて分析することにより、日本の小・中・高の家庭科教育におけるキャリア開発・予防キャリア問題教育における科学的概念の構造化に有効な示唆を得たいと考えている。また、フランスの各教科では、教育課程を貫く「科学」に基礎を置いた科学教育という基本理念のもと、フランス独自の科学の認識論による科学的概念によってカリキュラム開発が行われていると考えられるが、この点を踏まえて比較分析することは、日本の家庭科教育を中心としたキャリア開発・予防キャリア問題教育における独自の科学的概念を市民生活リテラシーとして構築し、それを基盤としたカリキュラム開発を推進することにつながると考える。

次年度使用額が生じた理由

フランス現地での資料調査及び収集については、テロの影響により政情不安定であることから本年度は渡航を差し控えた。
また、初年度に購入予定であったパソコンについては、必要な機能を備えた最新機種を選定するために待機しており、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度は、フランスの政情不安が落ち着いた頃に渡航を計画し、現地での資料調査及び収集を行う予定である。
また、パソコンについても、必要な機能を備えた最新機種を精選し、購入する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Histrical Development and Perspectives of Technology and Vocational Education in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      Tsunetaka Yokoo,Masao Uesato,Kyoko Uesato
    • 雑誌名

      Creating contexts for learning in Technology Education

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 家政教育の生成と展開過程における男女の関係性について2016

    • 著者名/発表者名
      上里京子
    • 雑誌名

      フランス教育学会 第34回研究大会要旨集

      巻: - ページ: -

  • [学会発表] 家政教育の生成と展開過程における男女の関係性について2016

    • 著者名/発表者名
      上里京子
    • 学会等名
      フランス教育学会 第34回研究大会
    • 発表場所
      北海道教育大学函館校
    • 年月日
      2016-09-10
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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