研究課題/領域番号 |
16K04749
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
林 泰成 上越教育大学, その他部局等, 副学長 (80293265)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モラルスキル / スキルトレーニング / 道徳的行為 / 体験的な学習 / 道徳教育 / 特別の教科道徳 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、(1)道徳教科化にともなう道徳教育実践の変化についての情報収集、(2)これまで修士論文等で取り上げられてきたモラルスキルトレーニングの効果についての検討、(3)新たなモラルスキルトレーニングプログラムの構想、(4)そのプログラムの検証、の4つを行う予定であった。 (1)については、道徳教育関連の学会、研修会等に参加し、情報収集を行うとともに、日本道徳教育学会の機関誌『道徳と教育』第335号に、「「考え、議論する道徳」の可能性と課題―「アクティブ・ラーニング」の視点から」という論文を発表し、私見を公表した。(2)については、本研究室で取り組み、成果としてまとめられた論文などを検討した。(3)と(4)については、次のように、新たなプログラムの実施について情報収集と分析を行った。すなわち、平成28年9月30日に東京都武蔵村山市立第八小学校において実施された小学校1年生を対象とするモラルスキルトレーニングによる道徳授業を参観し、許可を得てビデオ撮影を行い、そのビデオを用いて授業分析を行った。また、中学校における「モラルスキルトレーニングによる道徳授業の効果」について明らかにするため、平成29年1月16日に新潟県柏崎市立第5中学校に依頼して1~3年まで全校生徒を対象とした道徳授業を実施していただき、参観し、授業者と意見交換を行い、その特質等を明らかにした。 上記のデータから、モラルスキルトレーニングが、平成30年度以降に「特別の教科」として教科化される道徳授業において有効な手段になりうるということをまとめ、中国武漢の華中師範大学で4月21日から24日まで開催される予定のAPNME(Asia-pacific Network for Moral Education)で発表すべく申し込みを行った(この報告書をまとめている現時点ではすでに発表済みである)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに、情報収集や分析、プログラムの開発を行い、平成30年度に予定していた国際学会(APNME)での発表も、平成28年度にまとめて、平成29年4月には発表を行っているので、おおむね順調に進んでいると判断した。しかし、28年度中に予定していた2群比較による授業研究がまだ実施されていないので、これは29年度中に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況にも記したが、2群比較による授業研究をまだ実施していないので、まずそれを実施する。と同時に、授業の質的なデータを集めて、テキストマイニングを用いた質的分析、および、授業中の教師と児童生徒との間の会話会話分析による授業分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
他県において実施する予定であった2群比較による授業研究が遅れていることにより、授業記録に必要な機材の購入費、および、記録に必要な院生を帯同する旅費や人件費の一部が未消化となった。また上記の旅費を確保する意味で、この研究に関する情報収集のための学会参加等の出張を学内予算で処理したため、予想以上に旅費を余らせる結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度においては、新潟県内だけではなく、福島県の中学校教諭の協力を得て、2群比較の授業研究を実施する計画である。また、量的なデータだけではなく、質的なデータの収集も行うことから、ビデオ撮影以外に、ICレコーダーによって児童生徒のつぶやきを収集することも計画しており、ICレコーダーの購入や、福島県への旅費、記録の補助をする院生の帯同が必要となる。さらに継続して、学会等への参加によって情報収集を行う必要もあることから、平成29年度については、前年度分と合わせて、計画的に支出する予定である。
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