研究課題/領域番号 |
16K04749
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
林 泰成 上越教育大学, その他部局等, 副学長 (80293265)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モラルスキル / スキルトレーニング / 道徳的行為 / 体験的な学習 / 道徳教育 / 特別の教科 / 評価 |
研究実績の概要 |
平成29年度には小学校版の道徳教科書が作成され、平成30年度から「特別の教科 道徳」が始まった。その道徳科の指導法の一つとして「道徳的行為に関する体験的な学習」が学習指導要領にも記載されている。しかし、その具体的な方法の提示は、従来の道徳の時間にも用いられてきた役割演技などにとどまっており、新たな指導法の提案が望まれている。そこで、本研究では、そうした指導法の一つとしてモラルスキルトレーニングを提案し、その効果を検証しようとしてきた。 これまでの取り組みで、道徳科授業においては、道徳性の尺度などを用いた量的な調査研究ではその効果を明らかにすることが難しいということが分かってきた。そこで、本研究では、平成29年度は、質的な授業研究に切り替えて、研究をすすめることとした。平成29年度は、武蔵村山市立第八小学校など、スキルトレーニングを道徳授業に導入し、積極的に推し進めている学校の実践を参観し、その質的な様相を見取るなど、実践現場での取り組みに近い形での授業研究に取り組んできた。この方法で、モラルスキルトレーニングの効果検証だけでなく、道徳授業研究の在り方に新しい知見をもたらすことができるのではないかと考えている。 研究の成果は、11月18日(土)19日(日)に神戸親和女子大学で開催された日本道徳教育学会第90回大会において、「『特別の教科道徳』に求められる質の高い指導法」と題するシンポジウムの場でシンポジストの一人として発表した。 今後、福島県や愛知県の教員にも協力をいただいて、さらに道徳科授業研究という形で、モラルスキルトレーニングの意義を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
すでに、道徳教科化による道徳教育の変化についての情報収集や、モラルスキルトレーニングのプログラム開発などを行い、その中身についても平成28年度中に国際学会(APNME)などで発表している。しかし、副学長職を兼務しているなどの理由により、県外の小中学校での調査研究については計画通りには進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、道徳性検査を用いた量的な変化の検証も補助的に行いながら、質的な授業研究を中心にモラルスキルトレーニングの効果や意義を明らかにすることにする。 平成30年度は、福島県および愛知県の学校にも協力していただけることになっているので、児童生徒の書いたワークシートを基にテキストマイニングによる質的な分析を行ったり、教師の児童生徒との間の会話の分析によって道徳科の授業中に行われるモラルスキルトレーニングの質的な様相を明らかにする。分析には、院生にも謝金を払って協力してもらう。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】副学長職兼務の教授としてて教育研究に取り組んでいるが、大学改革の業務に忙殺され、他県において実施する予定であった授業研究が計画通りに進んではおらず、授業記録のために必要な院生の帯同や授業実践の協力謝金などが未消化となった。また、そうした予算を確保するために、この研究に関する情報収集のための学会参加等の出張費を学内で割り当てられた個人研究費などで処理したため、予想以上に予算を余らせることになった。 【使用計画】平成30年度は、福島県と愛知県の教員に協力していただけることになっており、複数の学校で授業記録を取り、その逐語録によってモラルスキルトレーニング授業の様相を解明することとしている、また質的な研究を中心にするが、補助的に量的研究を行う予定であり、その際に、市販の道徳性検査を購入して、児童生徒の道徳性の変化を測定する。
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