研究の教育的意義を以下のように明確にした。すなわち(1)環境問題は、現実問題を扱うため、現実問題を数学的に考えるふさわしい題材であり、算数・数学に関する活用力を伸ばすことが期待できる。(2)環境問題は切実な問題であり、児童・生徒が数学を活用して環境問題を考えることは、数学の有用性の感得することにつながる。(3)環境問題へ取り組むことは、数学的問題解決能力を伸ばすことにもつながる。さらに環境教育に関する先行実践を参考に、どのような数学的視点が取り入れられているかを分析するとともに、環境教育にふさわしい題材を選び、以下の題材について教材開発を行った。(1)北陸地域の米作と林業の特徴(小5・百分率):問1:北陸でより米作りが盛んなのはどこか?問2:北陸の林業の課題は何か?(2)白川郷と五箇山の合掌造りの比較(中1・立体図形):問1:合掌造りの屋根の傾斜角はなぜ60°なのか?問2:白川郷と五箇山で屋根の傾斜角はなぜ違うのか?(3)黒部川の電源開発と太陽光発電の普及(中1・比例):問1:なぜ黒部川に水力発電所が多いのか?問2:北陸地区で太陽光発電は有効か? 教材開発と授業実践の問題点の洗い出しは、以下の観点に基づいて行う。(1)数学的視点を取り入れた環境教育の題材は適切であったか。(2)環境教育のねらいを実現するために指導展開は適切であったか。(3)数学的視点は環境問題の理解にどのように役立ったか。さらに実践授業の実施準備を行った。
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