研究課題/領域番号 |
16K04751
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
宮城 信 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (20534134)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 作文コーパス / 中学生の文章 / 文種 / 書き方指導 / 中-大連携 |
研究実績の概要 |
本年度は、データ入力環境と、研究環境の整備を十分に進めることが出来た。また予定されていた学校現場における作文収集を何サイクルか実施することが出来たので、研究代表者と現場協力教員との協力関係が十分に構築できたと言える。 本研究における本年度(初年度)の研究計画は、調査協力校における作文調査の実施と作文の電子化(コーパス構築)の作成で、調査協力校の教員との関係作りや、作文データの収集と電子化を第一の目標としている。したがってデータ収集が進められれば十分な成果と評価できる。文種別作文は3種類(意見文、説明文、食レポ)を収集することができた。収集した作文は、1年生4クラス(×3種類)で計500編近くになる。現在、そのうち半分程度が電子化されている状況である。データはプレーンテキストの状態であり、今後各種の数量的研究の資料として使用するために適切なアノテーションを施し、形態論情報、意味情報等の付与を実施していく。 成果の発表に関しては、中間発表的なものであるが、本年度得られたデータの一部電子化後利用して全国大学国語教育学科ラウンドテーブル「これからの「国語の特質」の探求と指導のあり方」(於:第131回 東京大会)で口頭発表を行った。発表内容は、国語科で学習すべき語彙、同使用すべき語彙を学年別に推定する研究の一部である。まずは課題別の適切な語彙表の作成を目指し成果を検討していく。今回発表したデータの分析や質疑によって本コーパスを利用した研究の成果と問題点が明確にされ、来年度以降の作文調査のあり方、コーパス化に当たって重要なアノテーションに関して注意点や修正点といった具体的な示唆を得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
来年度以降の研究計画に照らして、調査環境・研究環境については十分に整備することが出来た。一方で、一部本年度の予定通りに作文の収集と電子化作業が進まなかった部分もある。まず電子化作業であるが、収集した作文500編をすべて電子化することが出来なかった。これにはいくつか原因があり、調査協力校での行事の準備や別課題で予想以上に時間が割かれたことに起因して作文の受領そのものがが遅れたこと、電子化作業を謝金作業で実施したため、不慣れな作業者(本学学生に依頼)が多く、思った程作業を進められなかったことが挙げられる。ただし、作文コーパスは本研究を通しての重要な資料となるため、多少予定に遅滞が生じたとしても出来るだけ丁寧に作業を進めていきたい。 また、作文集集についても、本年度当初の予定では4種類程度の作文を収集する予定であったが、3種類に留まった。来年度以降、出来るだけ計画的進められるように現場協力教員との打ち合わせを密に取っていくつもりである。以上のような問題は、関係者の技術が熟達してくれば自ずと作業効率が上がることが予測され、本年度の遅滞に関しては、来年以降で問題なく取り戻せると予想され、大きな問題とはならない。
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今後の研究の推進方策 |
全国大学国語教育学会ラウンドテーブルでの発表によって、本作文データの有効性が確かめられると共に、複数企画されている研究課題によっては十分な量的データが得られていないことが分かった(質的には問題なかった)。来年度以降、調査協力校で作文の収集を継続していくが、既に収集済みの文種に関しても別の課題で再度収集が必要である(特に今後の需要のみこまれる、説明文、意見文については増補が必須であろう)。 また、基本的な作業内容に変更はないが、初年度で電子化作業に一部遅滞があり、予定通り作業を消化することが出来なかった部分があったので、来年度以降、現場協力教員との連絡体制を見直してより円滑に滞りなく作業が進められるように協力関係の修正を進める予定である。 調査協力者(児童ら)へも最大限に配慮する。本年度得られた電子データを精査して、作文作成時に問題が無かったか(課題は生徒らに 正確に伝わっているか、作文を書く環境に問題は無かったか、個人情報の保護に問題は無かったか等)を再度検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、電子化作業体制に不慣れだった謝金作業者の遅れにも一因があるが、調査協力校における事情が大きい。学内常時などの影響があり、予定通りに作文調査を実施することが出来ない部分があった。
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次年度使用額の使用計画 |
一部作文コーパスの整備作業に遅れが生じているが、本研究計画の作業自体は計画的に推移しているので、研究計画・手法に問題は無い。調査協力校の教員の異動もなく、予定の学年担当になったので、調査計画にも大きな変更はない。作文コーパス構築に関する全体的な進捗は、次年度で作業行程を見直し、効率化を計ることによって現状の遅滞を解消したい。前年度に電子化できなかった作文資料について継続的に作業を進めていく(現在進行中)。本研究の中心的な業務である作文コーパスが出来るだけ早い段階で研究利用できるように優先して作業を進めていくことにする。
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