最終年度は、①これまでに解明してきた日本の理科教育における先端テクノロジーの学習内容の独自性・卓越性の解明を続けながら、②具体的な教授法の検討を行った。①については、1970年代の中学校理科教育における先端テクノロジーの学習内容選択の背景を探った。②については、デジタル理科教科書における先端テクノロジーの学習内容に関するイメージ調査を附属学校で行った。また、学び続ける児童・生徒を育成するうえで、近年注目されている「感情」の要素から附属学校においてインタビューを行い、カリキュラムの有効性を明らかにした。 研究期間全体を通して、①世界的に先端テクノロジーに関する学習内容はどのようなものが教えられてきたのか、②どのような先端テクノロジーの学習内容をどのように教えるのが効果的なのか、解明した。日本の理科教育関係者が、理科カリキュラムのテクノロジー関する学習内容の独自性・卓越性を比較することなく自覚することは極めて困難であり、本研究課題で、歴史的かつ国際比較的にその独自性・卓越性を抽出し、理科カリキュラム開発研究に寄与することができた。また、日本の児童・生徒にも必要不可欠な資質・能力を育成することが求められており、現在の学校教育ではPBL(課題解決型学習)の確立が急務である。先端テクノロジーに関する学習内容は、社会のニーズ・課題と直結していることから、児童・生徒の活用型学力のさらなる向上に貢献できるようになった。
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