研究実績の概要 |
本研究の目的は,戦後社会科の授業で定型化(方位・面積・距離の指導について)している地球儀指導において,「ホワイトグローブ」を用いることが地理の能力をどれほど高められるのかということを,関心意欲態度・知識理解・思考判断表現・資料活用の技能の観点から,小学生・中学生の発達段階による差異も含めて明らかにすることである。 戦前においては、地球儀は、子どもの空間認識を育てようと言うことではなく、暗記のために用いられた。 戦後の地球儀指導においては、戦前とは異なり、地球儀を暗記のために用いることからは脱却しているといえる。しかしながら、戦後の地球儀指導の先行研究の検討から二つ問題があることがわかる。まず、地球儀は子ども一人一人に与える余 裕がないので、リンゴやペットボトルなどを用いて地球に見立てて、緯度経度などの地理的概念を学ばせようとしていることである。 これは地球儀が持ち運びに不便であるということと、地球儀にはすでに多くの情報(地名)が掲載されており、描き込むことができないことに原因がある。 次に、地球儀を指導するにあたっては地球儀を指導する方法が定形化されており、距離・方位の測定,面積比較,経緯線・略地図を書かせたりすることで、平面の地図との相違を学ばせる活用が主であるといえることである。戦前と比べ、空間認識を育成しようとしたり 、地理的概念を学ばせようとしていることは評価できるが、その方法は定型化しており、打開策が求められる。 そのため、描き込むことができ、新たな地球儀指導ができるホワイトグローブを発案し、これを用いて児童生徒たちの地理的認識力を養成しようと考えた。現在はホワイトグローブを発注し、その完成を待っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、基礎的段階として地球儀の指導方法の歴史的変遷を明らかにし,ホワイトグローブの作成と,それをもちいた 授業実践を試行することであった。本来ならばこの平成28年度にホワイトグローブを発注するつもりであったが、平成28年末に急遽採択が決まったため、それはできなかった。 平成29年度は、地球儀製造業者にホワイトグローブを発注した。しかしながら、こうした地球儀の製造が初めてのこともあり、製造業者も試行錯誤を重ねて作ってくれているため、その完成は平成30年度にずれ込んでしまった。平成30年5月には完成することになっている。 平成30年5月以降、小学校と中学校でこのホワイトグローブを用いて本研究のテーマを究明していく予定である。
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