本研究の目的は、戦後社会科の授業で定型化(方位・面積・距離の指導について)している地球儀指導において、「ホワイトグローブ」を用いることによって新しい地球儀教授方法を開発することと、空間認識力を育成するために有効な教授方法とはどのようなものかを明らかにすることであった。 その結果、ホワイトグローブは、これまであった一般的な地球儀を用いた教授方法を超えて、新しい教授方法を生み出す可能性があることが学生の活動及び発言から明らかになり、地球上の空間認知力を育成する上で求められる指導においては、描画するということよりもしっかり観察し、他者に対して指示を与える作業つまり他者に情報を適切に伝える作業、そして細部にばかり拘るのではなく全体から位置関係を捉える作業こそが優れた空間認知の育成において求められることが明らかになったと言えよう。 では、観察つまり視覚が陸地描図において、優位に働くとするならば、一般の地球儀を用いても十分に効果があることになる。では、一般の地球儀をホワイトグローブの代わりに用いて、同様な正答率を示すのであれば、ホワイトグローブを用いずとも、十分な効果があると言える。これについての検証は、今後の課題としたい。 最後に、これらの実験後、立場を変えて、ホワイトグローブによる作業を学生たちに行わせた。このことによって、被験者の体験格差が生まれ不公平が生じないように配慮したことも付記しておく。
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