研究課題/領域番号 |
16K04765
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
蔦尾 和宏 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (50510765)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 徒然草 / 国語教育 / 説話 / 教科書教材 |
研究実績の概要 |
『徒然草』研究は、この数年の間に、新たな注釈書の刊行や定説を覆す研究成果の発表が続き、研究の画期を迎えていると言ってよい。しかし、そのような状況にありながら、教科書を通じて人口に膾炙する説話的章段の研究はむしろ停滞気味であるかに思われる。そこで、本研究は学校教材としての説話的章段の再解釈を通じ、そのような研究状況に一石を投じようとするものである。 本年度、研究対象として取り上げたのは、教科書の定番教材と言える「仁和寺の法師」章段(52~54段)および、その関連章段236段である。いずれの章段も鍵となる語彙が設定されており、そのキーワードから章段が展開するという見通しの下、新解釈を探る試みを行った。そのキーワードは順に「先達」、推量表現、「ありつる」「ならひ」である。 立論の前提として、如上の語彙の語誌の検討が必須であり、さらには『徒然草』が先行文学作品の良き読者であり、先行作品の場面どりや方法を踏まえて章段を構成していると思しいことから、『徒然草』成立までの文学的文献資料を広く読み込む作業を継続的に行った。それによって、調査の結果、一定の新たな事実を得ることができたものの、その新たに判明した事実によって、さらに調査領域を広げて目配りをする必要に迫られるなど、予想を超えて基礎作業に難渋することとなった。そのため、必ずしも論証に必要十分な語誌検討を行うには至らず、本年度は具体的な立論作業に入ることが叶わなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究業績の概要」に記したことの繰り返しとなるが、本研究は広範な用例検索をその基礎とするが、文献の読み込みに、当初想定していた以上に手間取ったのだが、その分の時間を宛てるのが難しかったため、基礎的作業完了の目途が立たず、具体的な立論作業が進まなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の目的、方向性に問題はないと思われるため、進捗に留意しつつ、予定通りの研究計画を着実に進めていたきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が予定よりも遅れをきたしたため、研究の進展に伴って必要となる、新たな書籍の購入費や研究成果発表のための旅費・印刷費などの支出が減ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
四月より所属機関が変更になり、研究環境および文献の利用可能状況に変化が生じたため、その変化が研究の遂行に支障をきたさないようにするための費用に充当したいと考えている。
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