研究課題/領域番号 |
16K04774
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
和田 圭壮 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (70263986)
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研究分担者 |
阿辻 哲次 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (00144303) [辞退]
鈴木 慶子 長崎大学, 教育学部, 教授 (40264189)
山元 宣宏 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (60571156)
河野 智文 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (70304144)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 漢字の由来 / 漢字の特質等 / 動画教材 / 漢字指導 |
研究実績の概要 |
小学校国語科の学習内容の中で、文字の由来、特質等に関する学習について、当初の計画では、平成28年12月に実施した附属小学校授業での「車」のパワーポイント教材を基に、動画教材を29年度7月までに作成し、8月の教員免許更新講習等で小学校教員に試す予定であった。 しかしながら、動画教材の作成にあたって、業者との事務手続きにおいて問題が生じ、制作の開始が遅れることになった。結果、8月の教員免許講習等での試行が行えず、9月に研究分担者及び研究協力者との協議を行い、今後の計画等を修正した。 動画制作が遅れることを受けて、単に動画教材を作成することが目的ではなく、動画教材を利用することで、どのように教育効果が向上するかを研究するためには、学習指導の本質として、授業内容及び方法の研究をしていくべきとの原点に立つことになった。そのために、12月に、熊本大学附属小学校において、動画教材を用いない、教科書のみで行う日頃の授業を観察させていただき、子どもの理解状況、つまずき等を観察させていただくことになった。 ここでの授業観察について、国語科学習におけるグループ談話の研究者にも参画していただき、教員の発言状況を通常のビデオカメラで撮影し、子どものグループ談話は、各グループ毎の360度カメラによって行った。その授業状況の検討を受けて、3月に研究分担者による協議会を設け、動画を用いた「漢字の成り立ち」単元の授業展開の方向性を確認することができた。 また、動画制作については、30年6月末に納品し、7月に熊本大学附属小学校において、実践授業を行ってもらうことが確認された。 このように、29年度は、本研究の遂行にあたって、動画制作内容の研究、つまり動画そのものの教材研究のみならず、学校現場において、授業の中でどのように展開すればよりよいかという、授業内容方法の研究を進めることができたことが大きな成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年次(平成29年度)は、1年次の成果を踏まえて、動画教材の制作を行う予定であった。具体的には、まず、象形文字の「車」の動画教材を、8月の教員免許更新講習等で小学校教員に試してもらい、アンケート調査を実施し、その結果を基に、さらに他の漢字の由来や、漢字の組み立て、漢字の部首、同音異義語、音読み・訓読みなど、漢字の指導に関することについて発展させる予定であった。 しかし、29年度の「研究実績の概要」欄に記したとおり、業者との事務手続きにおいて問題が生じ、制作の開始が遅れることになった。この点が、やや遅れている一番の理由である。 この動画制作とは別に、昨年度末の実施状況報告書に記した、今後の研究の推進方策等の中で、動画教材の制作に当たって、これからの小学校の授業を想定して、求められている主体的対話的で深い学びにするための方策を盛り込みながらの作成にしなければならないという点が課題であった。この点について、今年度進展が見られた。 それは、29年度の「研究実績の概要」欄にも記したとおり、熊本大学附属小学校の授業観察を行うことによって、グループ談話の研究者から助言をいただき、小学校国語科の「漢字の成り立ち」単元において、授業の中でどのように展開すればよいかという、授業内容方法の研究を進めることができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
3年次(平成30年度)は、当初計画では、29年度に動画が完成し、実践授業を通しての研究を進め、研究発表を行い完結する計画であったが、「現在までの進捗状況」欄に記したとおり、動画制作が遅れていることから、研究を1年延長する予定である。 動画は、3本制作する予定で、1本目が、漢字の成り立ちにおける、象形文字(「目」「耳」「口」)と指事文字(「上」)、2本目が、指事文字(「刃」)と会意文字(「林」)、3本目が形声文字(未定)の予定である。今年度中に動画3本を制作し、様々な場面で実践を試みる。 それは、今年度5月~7月にかけて、長崎大学の大学生向け授業や、熊本大学附属小学校、福岡教育大学附属福岡小学校において、動画教材を用いて授業を行うクラスと用いないで行うクラスを設定する予定となっている。授業内容及び展開は、小学校国語科の「漢字の成り立ち」単元において、29年度の研究成果を基に、主体的対話的で深い学びとなるよう、どのクラスも同一の展開で行ってみる予定である。 それらの結果について、まず検証する方法や内容を検討し、動画使用による違いを明らかにしつつ、動画教材の価値を探っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
動画教材の制作に当たって、業者との事務手続きにおいて問題が生じ、制作の開始が遅れ、29年度中に業者に発注することができなかったことが、大きな理由である。 30年度には、3本の動画制作について納品を完了させ支払いを済ませる予定である。完成した動画を使用し、附属小学校や大学において実践授業を行い、動画教材の使用の有無による動画の有効性を検証する。 研究期間については、動画制作がほぼ1年遅れていることから、研究期間を1年延長し、31年度(4年次)前半に研究を完結させ、学会等にて発表する予定である。
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