研究課題/領域番号 |
16K04776
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
小田切 忠人 琉球大学, 教育学部, 教授 (00112441)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ダウン症 / 知的障がい / 数認識 / 十進法 / 位取りの原理 / 学習困難 / 学習矛盾 / 学習の制約 |
研究実績の概要 |
開発WEBデータベースシステムの改善を行った。このシステムは、WEB上にデータをアップし、譬えて言えば、WEBは「鏡」で、そこにデータが映っている。データベースのデータ本体は、通常、ネットからは切り離されている。システムをバックアップしておくだけでなく、データ本体の像がWEB上に公開されているシストムとした。これにより、不正アクセスによるデータの改ざんや削除等に強いWEBデータベースとして、教育関係者に開放できる。しかし、不正アクセスによる破壊的行為に強いシステムにしたため、システムは複雑化し、大量データのアップに課題があった。本年度は、この点を改善した。 データベースの内容については、知的障がいのある被験者に治療的な教育介入を継続し、さらにデータを蓄積した。具体的には、十進法概念獲得の過程について、特にその習熟のステップについてデータで明らかにすることができた。現在、その教育介入を継続している。 その蓄積したデータに基づく研究成果の公表・紹介は、教育雑誌『数学教室』(国土社)No.749~777で「算数にスぺシュル・ニーズのある子どもたち」(1)~(29)と題して行った(2014.4~2017.3)。特に、本研究で教育介入を継続している被験者については、(13)~(29)で紹介し、2016年度は「十進法の導入前」から「十進位取り概念の学習達成」までの学習ステップを具体的なデータを挙げて示した。また、数学教育協議会第64回全国研究大会の「AMIサロン」のNo.8を担当し、「スペシャル・ニーズのある子どもたちから学ぶ多様化時代の算数・数学の授業づくり」と題して研究の成果を発表し、スペシャル・ニーズのある子どもたちへの教育介入から得られる示唆を一般化した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
WEBシステムの改善は、計画通り進められた。治療的な教育介入によるデータの収集も計画通りに進められた。収集データのWEBデータベースへのアップは少し遅れている。また、教育介入で開発した教材の整理・テキスト化も少し遅れている。しかし、追加データの量は多くないので、計画期間での達成は計画通りである。
|
今後の研究の推進方策 |
開発教材のテキスト化には、使い勝手の良いソフト(ツール)が必要である。それを試用版などで試しているところである。次年度は、この作業を終え、開発教材の本格的なテキスト化に作業を進める。また、開発教材の活用を進めるために、教育現場調査も進める。 なお、WEBシステムの改善と治療的な教育介入も継続し、さらに充実したデータベースにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国際会議への参加を計画していたが、その発表受付の締め切りが従前と大きく変わったことにより、対応できなかった。一方、Windows 10が公開され普及したことに対応するため、開発WEBデータベースシステムを点検デバックする必要があった。そこで、二年目に予定していた新バージョンパソコンの購入を初年度(当該年度)に行った。 初年目と二年目で計画していた作業を入れ替えたことが、主な理由である。
|
次年度使用額の使用計画 |
国際会議への参加は、研究成果を発表するだけでなく、他研究者との交流、何よりも異文化環境にある教育現場における本研究の成果の活用の可能性を探ることに意義がある。そこで、初年度に予定していた海外出張を二年目に行う。 以上により、計画していた初年目と二年目で計画していたことは達成される。
|