研究課題
本研究では、日本のオルタナティブ学校における諸実践に関するアクションリサーチによる事例研究と原理的考察を通して、公教育とオルタナティブ教育とが連携する意義と可能性を明らかにし、連携実践のための試行モデルを開発した。1.原理的考察:1)実践のなかで生成している多義的な「オルタナティブ」概念について、(1)多様性、(2)代案性、(3)別様性という3つの観点から分析を行い、明確化した。2)教育基本法のもとで「学校教育法」に並列して「教育機会確保法」を位置づける提案を、両法の間の異なる原理を明らかにしつつ行った。3)教育機会確保法をめぐる議論で焦点化した「多様性と公共性」のトレードオフ的な関係について、「学校の中での多様性」(インクルーシブ教育)と「学校の外への多様性」(オルタナティブ教育)という概念整理によって考察した。2.事例研究:1)中間支援組織による質保証の仕組みについて、日本シュタイナー学校協会の事例を検証し、互助的な実践支援の研修、質保証の指標(ガイドライン)、連携型の教員養成の導入などに関する知見を得た。2)公教育行政が、不登校支援のフリースクールに限らず、オルタナティブ学校も包摂した協議会等を組織した横浜市・神奈川県の事例に関する情報収集と分析を行った。3)「実験教育3法」が公布されて以来、オルタナティブ教育(実験教育)の進展が著しい台湾の動向を調査し、校種別の代表事例を収集した。3.モデル開発:1)公教育学校20校とオルタナティブ学校4校が連携交流してESDを推進するサステイナブルスクール・プロジェクトに参画し、ホールスクールアプローチによる実践・評価モデルを開発した。2)各地のシュタイナー学校におけるアクションリサーチを踏まえ、実践校と連携したシュタイナー教育ゼミナールを年間10~12講座開設し、教員研修・養成のためのカリキュラムモデルを開発した。
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発達
巻: 159 ページ: 77-82
教育社会学研究
巻: 104 ページ: 237-257