研究課題/領域番号 |
16K04782
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
林 幸克 明治大学, 文学部, 専任准教授 (90440651)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生徒指導 / 特別活動 / ボランティア活動 / 高等学校 / 警察 |
研究実績の概要 |
高等学校と警察が連携して行うボランティア活動の効果を検証するために,愛媛県西条市において「高校生防犯ボランティアC.A.P.」を事例に考察した。 2017年9月から10月にかけて実施した高校生対象質問紙調査,高校生対象聞き取り調査,教員対象聞き取り調査,警察関係職員聞き取り調査の結果から,以下のことがわかった。 学校と警察が円滑な連携をするためには,警察側はC.A.P.担当教員との引継ぎが重要であると認識していることがわかった。C.A.P.担当教員によって活動への関わり方が変わり得る,あるいは,警察の担当者によっても活動の在り方が変わり得るため,両者の関係性を安定したものにすることがC.A.P.の継続・発展のためには不可欠な要素になることが示された。高校生にしてみると,活動が量的にも広がり,質的にも深まることを意義として捉えていることがわかった。高校生だけではなく,警察関係者や市民も一緒になって活動することが多いため,活動規模の拡充を図ることができることが背景にあった。また,啓発資料の配布や非行防止対策協議会での議論など,高校生だけではできないことが,警察の支援を受けることで可能になり,活動に深みが生まれることになっていた。さらに,活動を通して高校生自身の防犯意識の涵養にもつながっており,自分自身の意識を深めることにも寄与していることが明示された。教員も,警察との直接的な関わりを通して生徒自身の防犯意識・安全意識などが高まることを成果として捉えていた。それと同時に,生徒が,活動成果を自分自身だけではなく,地域社会にいかに還元するのか,社会貢献意識に気づくきっかけとなっていることも意義としていた。また,警察と一緒の活動を重ねることで関係性が構築できてきて,生徒自身が安心感を持って自分から活動に取り組めるようになっている点に成長を認めていることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
愛媛県西条市内の高等学校5校,愛媛県西条警察署・西条西警察署,愛媛県西条市教育委員会等の協力を得ることができたことで,高等学校におけるインタビュー調査(高校生対象・教員対象),高校生対象質問紙調査,警察職員対象インタビュー調査,活動の参与観察がスムーズに実施できた。 また,前年度から継続して,青森県における「JUMPチーム」に関する調査研究を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
他自治体・地域において,高等学校と警察が連携してボランティア活動に取り組んでいる事例に着目して,質問紙調査,インタビュー調査,参与観察などを実施して,現状と課題を明らかにすることを試みる。 また,引き続き青森県の「JUMPチーム」の活動実践について調査研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
青森県における調査研究で現地に行く頻度を増やすとともに,別の自治体(具体的には熊本県玉名市)における現地調査を並行して行う。調査規模等が大きくなることが予想されるため,交通費や謝金など,各種調査に係る費用もそれに伴って多くなる。
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