研究課題/領域番号 |
16K04792
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研究機関 | 関西福祉大学 |
研究代表者 |
三木 澄代 関西福祉大学, 教育学部, 准教授 (30633705)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 共感性 / 保育者 / 被影響性 / 自己志向 / 視点取得 / 被受容感 / 発達 |
研究実績の概要 |
平成29年度においては、現職保育者・教育者対象の質問紙調査の結果分析を行った。 本調査対象は、兵庫県西播磨地区(T市、S市)の全公私立保育所・幼稚園・認定こども園、S市全小学校保育士・教諭ならびに公立高等学校(H市・S市・K町)4校の教諭であった。実施した質問紙は、①多次元共感性尺度(MES)(鈴木・木野,2008)24項目、②情動的共感性尺度(加藤・高木,1980)25項目、③日本語版ソーシャル・サポート尺度(岩佐,2007)12項目、④被受容感・被拒絶感尺度(杉山・坂本,2006)より被受容感を問う8項目、その他4項目(身体的共感反応を問う項目)の計73項目により構成した。有効回答756(回収率82.6 [調査用紙配布総数〕915(内訳:T市344、S市431、高校140))の結果を集計し以下の分析を行った。 まず、①多次元共感性の下位尺度(視点取得・想像性・被影響性・他者志向的反応・自己志向的反応)得点の校種(被験者所属)による比較では、「被影響性」において「こども園」-「小」「中」「高」に、[自己志向的反応〕において「幼稚園」-「高校」に有意差が認められた。「被影響性」では「こども園」が最も高値であり、それとの有意差は「中」「高」「小」の順で明らかであった。これにより、専門性として発揮される共感性が対象児童の発達段階により異なる傾向をもつ可能性が示唆された。 次に、②情動的共感性の3下位尺度(感情の暖かさ・感情の冷淡さ・感情被影響性)ならびに情動的共感性合計と①多次元共感性下位尺度(上述)ならびに④被受容感との関連を重回帰分析により検討した結果、「感情の暖かさ」「感情の冷淡さ」「情動的共感性合計」への「被受容感」の正の影響が、「感情被影響性」への「視点取得」の負の影響が見られた。これらから、保育者の被受容感支持と発達に応じた専門性としての共感性の必要が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究計画は平成27年度中に作成・申請し、平成28年度~30年度の3年計画案として採択された。しかしながら、平成28年3月末に契約満了の通知を受けて退職となったため、平成28年度・平成29年度と連続して2度の所属機関異動という不測の事態が生じ研究環境が大きく変化した。 また、加えてその状況下において、各自治体現職保育・教育者への調査実施・回収、調査依頼時期の遅れ・調査対象の事情による回収期間の遷延等は生じたこと、所属機関異動に伴い担当科目・調査実施手続の変化等の理由により、当初計画で予定していた大学生対象の調査実施・授業実践に基づく調査実施等の研究計画に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
大学生対象の質問紙調査を本年度できる限り早期に実施する。その結果分析と平成29年度の調査結果分析を統合して再分析し、授業実践計画案に反映させて授業実践して効果検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度・29年度と2年連続の所属先異動により研究環境(カリキュラム・担当科目・教材備品等)が変化したため、研究計画申請時の所属機関で実施予定であった研究活動の時期に変更(遅れ)が生じたため。研究活動の内容は変更せず、当初計画通り実施する予定であり、繰越分は実施時期を繰り下げた平成30年度に研究活動に要する教材購入費に充てる。
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