研究課題/領域番号 |
16K04798
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
下郡 啓夫 函館工業高等専門学校, 一般理数系, 教授 (00636392)
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研究分担者 |
伊藤 恵 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (30303324)
大場 みち子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (30588223)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 思考の可視化 / メタ認知 / プログラミング的思考 |
研究実績の概要 |
汎用的論理思考力を基盤とした,メタ認知能力育成のための教授法開発の一貫として,公立はこだて未来大学システム情報学部初年次教育として実施されている必修のプログラミング演習科目において,課題プログラミングの思考の可視化と促進を意図したプログラミング教授方法を検討した.従来のプログラミング演習科目においては、統合開発環境等のPC上の開発ツールの支援機能の豊富さなどから,学習者が十分に思考せずに,表面的な理解だけでプログラム作成を行う傾向が見受けられていた.そのため,プログラミング学習における思考の整理と促進を意図した紙の使用に注目し,紙のメモ用紙の導入,メモ用紙上への自習クイズの掲載,メモ用紙上へのふき出しの導入などを行い,思考の可視化とメタ認知を促していた.ただ,日常的に紙のノートの使用頻度が少ないことや,PC中心の授業における紙の使用の特殊性等を踏まえ,今回は紙の代わりに電子ペーパーを導入し,電子ペーパー上に配布したPDF をメモ用紙代わりに使用させることを試みたものである.これにより運用性は向上,今後はさらにメモの利用率向上を促しながら,思考の可視化とメタ認知育成の仕組みを整えていく. 一方,教材・教授法の検討を行う上で,プログラミング的思考のモデル化を行った.具体的には,情報を関連づけ,解決策を探索する創造的思考と,そこから情報を抽出,吟味しながら,論理的に組み立て表現しながら,解決策を評価し解決へと導くプログラミング的思考を基盤に,その思考をコーディングといったコンピュータサイエンスの技術的知識を生かして課題解決していくという階層構造である.さらに,創造的思考およびプログラミング的思考については,英国のナショナルカリキュラムをより詳細化した学習内容体系である,Computing Progression Pathwaysを元に,コンピテンシーとその概要を整理した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
汎用的論理思考力の育成方法について,統合開発環境による指導だけでなく,個人・グループそれぞれにおける教授法と学習効果を,パーソナリティ特性の5 因子モデルBig Fiveを利用して開発が進んできている.また,汎用的論理思考力の精緻化として,プログラミングと論理的文章力に共通の論理的能力として,記述する事柄の分解・整理,分野文章の順序立てられた組み合わせ,読み手に応じた適切な論述法の選択などがあり,それとプログラミング的思考のモデルとの親和性から,さらに絞り込みが進められると考えている.現在は,数学と論理的文章力の相関の分析を進めているところである.
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今後の研究の推進方策 |
汎用的論理思考力を基盤とした教授法開発に向け,統合開発環境による指導方法はもちろん,自己調整学習など,個人の学習方略を焦点にあてる.一方,グループ学習の方法として,医学倫理教育で展開されている4ボックス法の援用なども検討する. 汎用的論理能力については,数学と論理的文章能力との相関の分析を進めながら,さらに精緻化を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会発表ができなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度できなかった学会発表に参加する.
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