アクティブラーニングが目指す「持続可能な開発のための教育」プログラムを構築するために漂着ごみの再資源化を目指すエンジニアリングデザイン教育プログラムを開発,導入した.地域連携,学科混成グループワーク,合宿活動の3つを基軸とし漂着ごみ現状把握と再資源化をグループで討議した. まず漂着ごみの発生源と時期を明らかにするため山形県庄内地方における沿岸部や河川敷のごみの著しい地点において流木・海草を除く人工系海岸漂着物等量を回収した。ICC(International Coastal Cleanup)データカードに基づいてごみの分類を行った.河口付近での総ごみ量は20L袋の約1杯分(ランク3)から2杯分(ランク4)であった. プラスチックごみの主な成分分析を行った結果,漁網はポリエチレン繊維もしくはポリエチレンとポリプロピレンの混紡であることを明らかにした.漁網を洗浄,裁断,溶融,熱プレスし成形体とし強度試験を行った.ポリエチレン製漁網を原料とした場合引っ張り強度は最大25MPa、弾性率は1000MPa程度であり汎用性樹脂と同程度の力学的性質を示した.熱処理により弾性率は向上した.しかし混紡を原料とした場合、異種成分高分子による相分離構造が形成され力学的性質は低下した.粒径1μmに微粉砕した籾殻は弾性率を向上するバイオマス添加剤としての効果を示した. 流木については炭化物の性質やその応用を検討した.炭化物の表面は多孔質構造であることを確認した.活性炭に比べ特定の金属イオンを吸着する性質がある事を確認した.現地での合宿において簡易炭焼き窯を用いて流木炭焼きを行い流木炭の活用についてグループ討議した.学生による成果報告の場として自治体イベントを利用してポスター発表を行った. このような経験を通じて学生にとっては予測困難な課題の解決に向けた知識の活用の重要さを理解する機会となった.
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