研究課題/領域番号 |
16K04803
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
阿部 美穂子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70515907)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 障害児のきょうだい支援 / 障害児の家族QOL / きょうだい児の子育て支援 / 障害児家族支援 |
研究実績の概要 |
2018年度は、以下の3つを中心に研究を推進した。 1点目は、2017年度から実施してきた「きょうだい児を育てる親へのアンケート」の分析に入ったことである。これは、きょうだい児を育てるにあたっての親の悩みの有無とその内容、及び家族QOLの実態について尋ねたものである。751の家族から回答を得て、同胞の障害種別に分類し、特徴が見られるかどうかを検討しており、現時点で、重症心身障害児の同胞をもつきょうだいを育てている246家族(全回答者中の32.8%)に関する分析を終えた。その結果、きょうだい児の子育てに悩んでいる者が76%に上った。一方、きょうだい児の年齢別に家族QOLの特徴を調べてみると、家族相互関係、子育ての2因子に関し、13~18歳までの思春期きょうだい児を育てている家族で有意に低いことが明らかになった。現在は、引き続き、ASDのある同胞のきょうだい児を育てている213家族について、分析を進めている途中である。 2点目は、きょうだい児を育てる親を対象とした子育て支援プログラムの開発である。0歳から中学生までのきょうだい児を育てる親17名を対象に、月1回、1時間半のセッションを計6回実施した。内容は、きょうだい児の気がかりな行動への対処方法は子育て感に関するグループディスカッション、大人になったきょうだい及び、先輩保護者の体験談等からなる。実践前後に参加者からにアンケート調査を行い、プログラムの効果を確認した。現在は、その結果の詳細を分析しているところである。 3点目は、きょうだい児を育てる家族への支援方法に関する国内外の情報収集である。国内では、NPO法人「しぶたね」主催の清田氏他と連携し、きょうだい児とその家族支援に関する支援リーダーの育成活動を体験視察した。国外では、アイスランドに出向き、インクル―シブ教育体制の中で実施される障害児家族支援の実際を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、「きょうだい児を育てる親へのアンケート」について、各障害種別比較を終える予定であったが、現在、重症心身障害児及びASD児の大部分までを終えたところであり、やや遅れが生じている。 また、支援プログラム開発のための研究に関して、最終的に、少なくとも2グループでの実践を行う予定であるが、対象者の調整に時間がかかり、2グループ目の実践が、2019年度後半にずれ込む可能性が出てきたことである。
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今後の研究の推進方策 |
上記の進捗状況で述べた内容を踏まえ、早急にアンケート調査データの分析を進める。ASD児の同胞をもつきょうだい児を育てる親のデータ分析結果については、主な内容を取りまとめており、2019年度に、国際学会であるInternational Association for the Scientific Study of Intellectual and Developmental Disabilities(IASSIDD)でのポスター発表を予定している。 また、実践研究については、2019年5月までに対象グループ選択と日程調整を終えるようにし、なるべく早期に第2回目の実施を試みる予定である。 その後、上記2つの研究成果について取りまとめ、得られた知見をもとに、きょうだい児を育てる親の支援ニーズ及び、その支援プログラムについて、各種学会、シンポジウム、講演会などで発信する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分析に使用する予定の統計ソフトの購入が遅れており、物品費の支出がなされなかった。また、実践データ収集に伴う、人件費が予想よりも少なかったため、剰余金が生じた。これらについては、次年度実施する予定のデータ分析及び、第2回目の実践調査に使用する予定である。
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