研究課題/領域番号 |
16K04821
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
軍司 敦子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (70392446)
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研究分担者 |
竹市 博臣 国立研究開発法人理化学研究所, 情報基盤センター, 専任技師 (60242020)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非侵襲脳機能測定 / 知的障害 / 発達障害 / 聴覚障害 / 神経科学 / 言語 / 情動 |
研究実績の概要 |
発達や視覚・聴覚に障害のある子どもが,学習や人間関係の構築の際に参照する視聴覚情報を適切に理解することができる環境条件を探索するため,(1)注意の指向性コントロールの妨げとなる視聴覚のノイズ条件を探索することによって,選択的注意を促す脳の神経基盤についてのエビデンスを集積するとともに,(2)聴覚情報の補完障害に関わる脳機能を解析することによって,事物への理解や選択的注意を妨げる病態,意味理解や状況把握における視聴覚認知の特異性を検討した.その結果,(1)前頭葉から側頭葉にかけての脳領域において,聴取対象と背景ノイズが同一言語であるときに有意に賦活される周波数成分を検出することに成功した.また,(2)ヒト声聴取時の情動理解を支える視覚情報の種類と範囲について事象関連電位の解析から整理することによって,視聴覚認知における知覚情報の補完を示す現象について神経生理学的なエビデンスを得た.この取り組みを参照することによって,教室環境や教授法における個々の支援ニーズの評価の観点として視聴覚情報のあり方がさらに整理されることと期待している. なお,上記成果の一部は,学術誌および学術会議にて公表され,教員免許更新講習やその他の教員を対象としたセミナーにおいても子どもの変化についての理解を深めるための最新知見として紹介された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常成人を被検対象に,学習や人間関係の構築に参照する視聴覚情報を適切に理解することができる環境条件を探索することを目的として,(1)注意の指向性コントロールの妨げとなる視聴覚のノイズ条件の探索,および(2)聴覚情報の補完障害に関わる脳機能の解析を行っており,平成28年度のおもな研究実施計画の目標を達成し,概ね順調に進展しているといえる.並行して,学術誌および学術会議での公表および教員研修を通じて,社会への最新情報の提供にも努めたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に実施した,さまざまな視聴覚条件での言語および情動認知に関連する脳波計測の解析結果に基づいて,刺激や課題,計測条件を見直した実験を追加し,被検対象の状態把握のために収集された評価項目(注意機能,社会性認知,気分・感情)との相関解析から,注意の指向性コントロールの妨げとなるノイズ条件の探索および聴覚情報の補完障害に関わる視聴覚認知の神経基盤を検討する.併せて,これまでに計測された背景ノイズ混入時の音声言語知覚の補完に関連する脳機能データについて,解析および公表にむけての作業を進める.
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